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組織を活性化させていく上で外せないポイントを、企業や組織が抱える問題や課題と照らし合わせて分かりやすく解説します。日々現場でコンサルティングワークに奔走するコンサルタントが、それぞれの得意領域に沿って交代でご紹介します。

若手社員(3年未満)が会社に求めているもの

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就職活動をする上で重視する内容で増加傾向にあるのが、「価値観の合う企業か否か」「福利厚生の充実」です。就職情報サイト「キャリタス」が5月に発表した、新卒学生の就職感調査では「自分が共感できる企業」、「福利厚生が充実している企業」が、就職先を選ぶ上での基準のトップとしてランクインしています。

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この10年で、「プライドの持てる仕事」や「夢のため」に働くと答える自己実現志向の学生が減少傾向にあるほか、中小企業に目を向けるよう学生に指導する動きが大学側に広がり、景気回復を見込んでの「大企業志向」は、これまでのようには増えないのでは、との見方があるようです。

上記のことを踏まえると、近年の企業を選ぶ傾向では「共感」「福利厚生」といったように、"仕事"に対する価値観よりも、自分自身の価値観や人生観を重視している傾向になっていると考えます。そのため、企業が自分の価値観と合うか、働き方が合うか?で企業を選択しているように感じます。

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今後更に少子高齢化の社会の問題が深刻化する中、採用難という問題・課題も企業の抱える重大テーマだと思います。弊社のお客様でも採用競争力をつけるために、社員に対する報酬面・非報酬面の充実にむけて、制度改定や福利厚生の見直しを行っている企業は多いですが、本当に仕掛けのみを変えて解決する問題なのでしょうか?

・賃金を上げれば人が辞めなくなる。
・福利厚生を充実させれば採用できる。

確かに上記の考えはあるとは思いますが、若手社員が「この会社で仕事をしたい」「この会社で仕事を続けたい」と感じる理由は、福利厚生のような仕掛けだけの問題ではなく、社員に対する捉え方を、一労力で見るのではなく、一人一人の人生を考え、今のステージに何が必要なのかを考え、示唆をしてあげる努力が必要だと考えます。

そのため、若手社員に対して、最も重要になるのがマズローの欲求5段階説でいう第4階層"承認(尊厳)欲求"をいかに満たしてあげられているか?になると考えます。なぜ若手社員に承認(尊厳)欲求が必要なのか?それは、下から強く頼られる立場でもなく、上から頼られる立場にもなり難い若手社員が、最も感じにくいのが承認(尊厳)欲求だからです。

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では、何を基準に承認(尊厳)欲求は満たさせるのでしょうか?以下3つが大きく該当すると考えます。 ①評価結果 ②賃金などの数値結果 ③成長実感

「どんなに福利厚生が充実していても、自分や他者から認められていない。」と感じているのと、「多少福利厚生が充実していなくても、自分が自分自身を認められるような結果や成長実感が得られ、他者からも認められている。」と感じているのを比較した場合、どちらの方がこの会社で仕事を続けたいと感じるのかを考えると、承認(尊厳)欲求が満たされている後者の方だと思います。

入社して3年目未満の若手社員は特に自分の力が会社にどう発揮されているのか、貢献できているのか?が自分では測り難い狭間にいる期間でもあります。だからこそ、何が良いのか、改善するべきなのかを伝え、本人自身がフィードバックを基に、いかに自己承認や他社承認に繋げられるか、が重要になると考えます。

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今回のこの記事で最も伝えたかったことは、若手社員を一社員、一人間として何が今必要なのかを考えるマネジメントが必要になってくる。ということです。

仕掛けも勿論必要ですが、根本的に今のマネジメントに問題がないのか?を見直して頂く機会になればと思います。

※承認欲求はマズローの欲求5段階説でいう第4ステージになります。また細分化すると、「自己承認」と「他己承認」に別けることができます。

そもそも、マズローの法則では生理的欲求(食事・睡眠など)、安全欲求(経済的安定性・健康状態の維持・暮らしの水準)、社会的欲求(集団に属する・仲間を欲する)、承認(尊厳)欲求(自分を認める・他己に認められる)、自己実現欲求(夢を実現する欲求)の順番で構成されています。そのため、社員がどこのステージで今つまずいているのか?はマネジメントとして管理する必要があると考えます。

組織開発コンサルティング事業部
村上 由華

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