噂のFacebookフォン、HTCから来月にも発表か?そのソーシャル機能を予測する
昨年9月に話題になったFacebook Phoneが、ついに登場するかも知れない。
ニュースソースは、英国ビジネスサイトであるCity.A.M.(元記事)、このサイトは過去にもSamsumgのNexus Sの英国登場を最初にリークした実績があり、一定の信憑性があるようだ。現在、このニュースは、Mashable、The Next Web、VentureBeat、Business Insider などの米国ブログメディアにも伝播しはじめている。ただし、GIZMODO はこのニュースの信憑性に疑義を向けていることも付記しておきたい。
【出所: Gizmodo】
記事によると、Facebookは2種類のスマートフォン、仮称Facebook PhoneをHTCと共同開発しており、来月にもHTCから発表される予定とのこと。OSはAndroidだが、独自カストマイズがほどこされているようだ。Facebookサイドの主要開発メンバーは、かねてより噂になっていたJoe Hewitt氏とMatthew Papakipos氏のようだが、機能の詳細は明らかになっていない。
Facebook Phoneに関して、最初にリークされたのは2010年9月20日。ニュース元はTechCrunch (TechCrunch元記事: Facebookが密かに電話機を作っている) だったが、あまりに反響が大きかったため、ザッカーバーグ本人がやんわりと否定した経緯(TechWave記事: Facebookはケータイではなくプラットフォームを作る)がある。
しかし、その直後の9月23日、今度はBloomberg(元記事)によって、Facebookが携帯メーカーINQ Mobile(携帯キャリアはAT&T)と提携し、スマートフォンを開発中だと報じ、さらに状況は混沌(Agile Cat記事: Facebook Phoneについて知っておくべき全てをGIGAOMが解説)とした。また、その後に発表された Microsoft Windows Phone 7 はFacebook連携がフィーチャーされており、Facebook携帯と称する記事 (WIRED VISION記事: Facebook携帯、Windows Phone7の戦略)もあらわれた。
記事を読んでわかる通り、前述ザッカーバーグ氏のインタビューは明確な否定ではなく、逆に今回のようなアプローチ(製造メーカーはHTC、OSはAndorid)を示唆している内容にもとれる。ただし、コミュニケーション部分を中心に、FacebookがAndroidを大きくカストマイズした可能性が高く、一般的なAndoirdアプリがどの程度稼働するかは不明だ。
機能は明らかになっていない。が、Facebook Phoneが現れるのであれば、ほぼ間違いないのは、FacebookのIDが電話番号の代わりになり、Facebookの友人がそのまま電話帳になること。つまり電話やメールなどの連絡手段から考えるのではなく、友人を先に選択し、その後にツールを選ぶ、オブジェクト指向が実現される。PCでも、Excelなどのツールを選んで次にファイルを選択するという順番から、ファイルを選択すると自動的にツールが選ばれる、ないしツールを選ぶことができるようになり利便性が格段に向上したが、それと同じ効果が期待されるわけだ。
さらに、想定される機能は次のようなものではないだろうか。期待も込めて予想したい。
- Facebookアカウントでアクセスする。つまり連絡先の選択は実名と顔写真で行う (直感的インターフェースとなり、電話番号やメールアドレスは重要ではなくなる)
- コミュニケーション手段としては、電話、メール、SMS、VoIP通話、チャット、動画チャット、掲示版等が選択できる (従来の1対1コミュニケーションから、1対Mコミュニケーションができる機器になり、連絡効率が著しく向上する)
- 写真や動画、近況アップデイト、場所情報がワンクリックで投稿される (友人たちと、容易に今をシェアすることができる)
- あらゆるコンテンツにロケーション情報が付与できる (Facebook Placesが重要になり、クーポンなども容易に取得できる)
- ファンページにも企業名でアクセスできるようになる (ファンページの重要性がさらに増す。スモールビジネスではホームページよりファンページ、という時代が来るだろう)
- 将来的には、スケジュール機能も強化される (スケジュールやイベント情報もスマートフォンに集約される)
- 将来的には、音楽クラウドサービスもバンドルされる (噂ではSpotifyがバンドルされる可能性がある。その場合、無料ないし定額であらゆる音楽がダウンロード不要で聴けるようになる)
- これらの極めて重要な機能が、アプリをまたがずに、携帯電話の基本機能として提供される (すべての基本機能が、ワンクリックなどシンプルなUIで実装される)
- スパムメールのようなものが激減する (Facebookはスパム対策に力を入れており、迷惑メールなどが激減することが予想される)
- 長期的には、これらの機能はHTML5ベースとなり、他のプラットフォームと共通化されていくだろう
電話番号や携帯メールアドレスが重要でなくなると、携帯キャリアへの依存も減ることになる。キャリアに依存しない機種選択ができるなど、キャリアや携帯メーカーにに与える影響も大きなものになりそうだ。
昨日、Inside Spcial AppsカンファレンスでFacebook CTOは「モバイル機器への対応が最重要課題」(元記事)と繰り返した。また、HTML5を通じて多数のプラットフォームを統合していく(元記事)との発言もあった。あらためて考えると、これらの発言は、Facebook Phoneを意識したもののようにも受け取れる。
参考まで、Facebookのモバイルに関する最新公式統計は以下のとおりだ。
・Facebookユーザー6億人のうち、2億人(33%)がモバイル機器を利用している
・Facebookのモバイルユーザーは、ウェブユーザーの2倍以上アクティブである
・60ヶ国、200携帯キャリアが、モバイル機器からのFacebookアクセスに対応している
また、各モバイルOSおいても、Facebookアプリの人気は群を抜いて高く、スマートフォンとFacebookの相性の良さを物語っている。
【出所: Flowtown, The Rise of Facebook Mobile】
これらを統合すると、今回のようなカタチでのFacebook Phoneは、HTCに限らず、世界中の携帯キャリアが目指しても不思議ではない話と言えるだろう。世界のコミュニケーションインフラ、またソーシャルグラフを独占していくFacebook。その一挙手一投足に、常に世界が目を向けざるをえないほど、その影響力は増している。
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