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ある時はコンピュータの製品企画担当者、またある時は?

ビデオカメラの教え

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結婚して子供が出来るとまず購入される家電の筆頭はビデオカメラだろう。幼い我が子の姿をできる限りありのままに記録するためには必須の機材といったところか。我が家でもどこの家庭でもそうするように、娘が出来た頃に購入した。僕自身は元々写真の方が好きだったのと、記録されたものを見るのにお膳立てするのが面倒なのとで、あまり乗り気ではなかったのだが、子供ができたのにビデオカメラも買う金が無いと親戚に思われるところだったので、あわてて購入したというのが実態だ。実は妻の実家から、(ビデオカメラすら買う金が無いなら)買ってあげようか(=娘が嫁いだやつはこんなにケチで貧乏なやつだったのか)、と言わんばかりのプレッシャーを受けたのである。家庭内の事とは言え、自分の趣味を貫こうとすると親戚から白い目で見られることがある、というわけだ。そして長い間デジタル一眼レフカメラを買わせてもらえなかったのは、この時の妻の復讐なのではないかと密かに勘ぐっている。

ビデオに気乗りしなかった理由がもう一つある。いつぞや独身の頃に、既に子持ちの先輩の家に招かれたことがある。当人にとっては目に入れても痛くない我が子を自慢したかったのだろう、ビデオを延々と見させられる破目に陥ったのである。最初の頃はふうん、と観賞していたのだが(ビデオなんて今ほど普及していなかったから珍しかったというのも事実だ)、だんだんとそうでもなくなってくる。写真ならば適当に飛ばしてしまえば済むものを、ビデオ上映の場合は所要時間を調整する事は不可能である。一方の先輩の方は、まんざらでもなくビデオ収録当時の思い出に浸っている。これは食費だと自分に言い聞かせて、耐えることしか何もできない。相手から自主的に所望されない限り、他人に家庭内ビデオを見せてはいけない、というもう一つの教訓を得たのはこの時である。

さて無事に買ったは良いのだが、ビデオカメラの技術革新のスピードには目を見張るものがある。当時購入したのは磁気テープ(DVというやつ)に記録するタイプであり、バッテリー最大充電時には最長で8時間も稼動した。そのうちに世間では記録メディアがDVDになり、そしてHDDやらフラッシュメモリーへとなるにつれて軽量化が進むと、比例するようにバッテリーも小型化し、今では400グラムを切るほどにスリム化している。確かに総重量1キロを超える(実測1090グラムあった)ごつい機械を片手で支え続けるのは、僕にとっても結構きつい。しかも我が家では僕がカメラ、妻がビデオという役割分担なので、何かイベントがある都度小言を頂戴することになる。ここでカメラが1.5キロを超えることを主張しても仕方ないので、かつて得た教訓に従って今度は比較的素直に新型のを購入した。確かに軽くて機能は豊富だ。技術の進歩は素晴らしい。ただ当然の事ながら、旧型のいびつで無骨で変な自己主張はみじんも無く、ちんまりと小さくまとまっている。なんだかお払い箱になる方が魅力的にも映るのだが、人に言われるままに買い物をしてはいけない、という教訓はとりあえず封印しておくとするか。

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