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「Twitter では10%のユーザーが90%のメッセージを投稿している」は驚きか?

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週末、ハーバード大学のビジネススクールが発表した、Twitter に関するある調査結果が注目を集めていました。ちょうど ITmedia でも紹介記事が出ていましたので、紹介しておきましょう:

Twitterユーザーの半数以上は「74日に1回」投稿 (ITmedia News)

ハーバード大学経営学大学院は5月に、無作為に選んだ30万人のTwitterユーザーの公開エントリを調査した。これらユーザーがTwitterアカウントを開設して以降、投稿したメッセージを調べた。

 その結果、Twitterユーザーの10%がメッセージの90%以上を投稿していることが明らかになったと、調査を指揮したミコラジ・ジャン・ピスコルスキ氏は語る。Twitterユーザーの半数以上は、74日に1回以下の割合でメッセージを投稿しているという。

Twitter で交わされるメッセージの9割は、1割のユーザーによって生み出されている――従って「企業がTwitterを世論の正確な指標として利用することは難しい」と。果たしてハーバードの研究者らが言うように、Twitter は騒がれすぎなのでしょうか。

僕個人としては、この結果を見て「特に驚きではない」と感じています。理由は2つ。まず最初に、これは有名な話なのでご存知の方も多いと思いますが「1:9:90の法則」というものがあります:

Participation Inequality: Encouraging More Users to Contribute (Jakob Nielsen's Alertbox)

In most online communities, 90% of users are lurkers who never contribute, 9% of users contribute a little, and 1% of users account for almost all the action.

大部分のオンライン・コミュニティでは、ユーザーの90%は何も投稿せずに他人の書いたものを読むだけであり、9%は多少の投稿を行い、そして残りの1%がほぼ全ての活動を行っている。

この法則が Twitter というオンライン・コミュニティにも働いているのであれば、10%のユーザーが90%のメッセージを投稿しているというのも特段驚きではありません。また元となったハーバード大学の記事自体でも指摘されているのですが、Wikipedia の場合は15%のユーザーが編集作業の90%を行っているとのこと。こちらと比較した場合でも、Twitter だけが特殊なコミュニティではないと言えるでしょう。

そしてもう1つ忘れてならないのは、スパムアカウントの存在です。ハーバード大学の研究者らがどれだけ日頃から Twitter を使っていて、そしてどれだけスパムアカウントからのフォロー通知に悩まされているか知りませんが、少しでも Twitter を使っていた方であれば「何かアイコンに露出の多い女性の写真が使われていて、1つしかメッセージを投稿していない外国のアカウントからフォローされたんだけど、何なんだろう……」という経験をされたことがあるでしょう。また最近 Twitter には「トレンド」という機能(投稿されたメッセージの中で頻出する単語を拾い、ページの右サイドに表示する)が追加されたのですが、これを利用したスパム行為が拡大しつつあります。中には Retweet (他人のメッセージを引用して紹介すること)記法を悪用して、あたかも有名アカウントの発言であるかのようにしてスパムサイトへとリンクさせる手法も登場しているとのこと:

Twitter’s Real Time Spam Problem (search engine land)

というわけで、ハーバード大学の調査に使われたアカウントたち(300,542個、2009年5月に収集されたものとのこと)の中にも、スパムが含まれている可能性があります。それを加味しても1:9:90の法則が成り立っているということは、逆に本当の意味でのユーザーがアクティブに行動している、ということを意味している可能性もあります(まぁスパムが多いというのはそれはそれで問題なわけですが)。今回の調査結果をもって、「やっぱり Twitter なんて新しいバズワードに過ぎない」と考えてしまうのはちょっと惜しいでしょう。

ただ、だからと言って Twitter が「世論の正確な指標」として使えるかというと、それはまた別の話だと思います。僕個人の周囲でも、Twitter の認知度にはバラツキがあり、「一部の界隈では非常に流行っている、しかしそこを一歩離れるとまだまだ」という感じ。他のソーシャル系サービス同様、企業活動に利用したいのなら「そこにどんな人々がいて、どんな行動をしているのか」という点を冷静に見極めることが欠かせないのではないでしょうか。

【○年前の今日の記事】

「高校生友情プライス」は無意味だった? (2008年6月8日)
ブロガーは主張する (2007年6月8日)
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