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長年相場を見続けてきた現役の情報部長が相場について語ります。

今日はトーシの日、「貯蓄から投資というけれど・・・・」

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先週末の米国市場は堅調となったのですが、円高を嫌気する動きから寄り付きの売り買いが一巡となったあとは軟調となりました。それでも、為替が一気に円安に振れる場面もあり、先物にもまとまった買いも見られ一時大幅高となるなど、腰の据わった売りも見られませんでした。本日から開催されている日銀の金融政策決定会合で追加金融緩和が期待されることや、為替の介入も期待されることから、売り叩き難い一方で、逆に追加金融緩和の効果が疑問視されたり、為替の介入が見られないといった失望も懸念されて買い上がれず、相変わらず目先筋中心の方向感のない展開となりました。

先週に続き「円売り介入」に対する期待が強く、為替に敏感に反応する展開となっています。米国株が堅調、商品相場も穀物市場は高値追いも一段落となりましたが、金を筆頭に高いものが多く、世界的な経済拡大が期待されるなかで、日本という国が忘れ去られてしまったかのように株式市場も冴えない展開です。金融緩和期待もあるようですが、日銀は米FRB(連邦準備理事会)のような信頼感もなく、金融緩和や円の介入期待で素直に買い切れず、相変わらず方向感のない展開となっています。

大型増資が相次いで発表されていることで、株式価値の希薄化を懸念する動きから売りが先行となっているものと思います。このコラムでも何度か述べてきたことですが、株式を保有することのメリットがなく、手数料ばかりが安くなって売買コストばかりが下がってしまうことも株価低迷の一因と考えても良いのではないかと思います。株式を保有するメリットがあれば、ある程度安心して保有できる会社の株式であれば、公募増資などでもかつてのバブル時代のように「時価よりもディスカウントで手数料なしで買える」というメリットもありましたが、手数料が無いに等しく、公募を引き受ける先もないような時代では公募増資も単に「株式価値の希薄化」という側面が強調されてしまうのでしょう。

本来、公募増資も流動性の確保や財務を立て直して新たな収益源に投資をするための資産補充と考えれば前向きに感がえていいはずです。ただ、株式を保有するメリットでもないと、そうした企業の中長期的な戦略に乗り切れず、目先の需給悪化ばかりが目立ってしまうということなのでしょう。税制の問題などを絡めて、株式保有のメリットに対しここまでほとんど議論されておらず、配当課税やキャピタルゲイン課税、そして手数料の引き下げばかりが目立ち、証券会社の収益も保有することよりも売買することに依存しているのですから、「貯蓄から投資へ」という流れにならないのでしょう。
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