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スーパーエンジニアの独り言 第6回“電子書籍の名前”【CTC教育サービスのメルマガより】

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こんばんは。弊社のお客様であるCTC教育サービスがメルマガを発行しました。
今月号の目次は以下の通りです。

■新コース   VMware View: Install,Configure,Manage [V4.5]
        VMware vSphere:What's New[V5]バウチャー付
■セミナー   1月20日クラウド時代に間違わない人財育成投資セミナー
■トピック   Inst. Tech View~第8回“Ciscoデバイスのバックアップ”~
■コラム    スーパーエンジニアの独り言 第6回“電子書籍の名前”

※このメルマガの全文は以下をご覧ください。
ctc1215.pdfをダウンロード

コラム スーパーエンジニアの独り言 第6回“電子書籍の名前”は以下をご覧ください。

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今回の話題は、急速に浸透し普及が始まった電子書籍の話題を取り上げます。

以前であれば電子ブックやザウルス文庫、近年でケータイ小説と様々な形で電子書籍は昔から嘱望されていたものではありましたが、最近になり本格的に普及の兆しがみえます。紙の書籍を凌駕するのではないか?と危惧される程、脅威に感じるムーブメントを牽引する要因の一つに、電子書籍リーダーが各社から続々と発売されている現状が挙げられます。それにも増して急激に普及したスマートフォンやタブレットにより自然と読み手側の環境は整いつつあるのは事実です。

コンテンツを提供する側としては Amazon、Appleを筆頭に紙媒体での書籍をデジタル化して扱う試みが市場に投入され、影響は既に日本に及んでいます。但し、音楽や映画、新聞、それらデジタル化可能な媒体と同様、雑誌や書籍に於いても様々な懸案が山積されている状況ではあります。しかしながら、インターネットが誘発するパラダイムシフトが波及しているこの過渡期に、新たな価値観や体験を共有していく流れは止められない状況です。

問題は普及の鍵となる標準化であり、電子書籍に於いても他と同様です。配布メディアのフォーマット形式は「書籍」を購入する消費者にとっては重要な問題です。購入した本を「いつまで読むことが出来るのか?」に直結するからに他ありません。つまり標準化は最重要課題であり日本に於いても産学連携の活動が見受けられますが、標準化では過去の例示で明白な様に国際標準が肝要となります。インターネットが関係するので尚更です。

この命題に対しては、電子書籍フォーマット「EPUB 3」が勧告されたことが現状で一番近い回答になりそうです(2011年10月11日に発表されました)。「EPUB 3」は電子書籍フォーマットの国際標準仕様を策定している団体であるIDPF(International Digital Publishing Forum、国際電子出版フォーラム)が発表した仕様です。EPUB 3では、W3Cで策定中のHTML5をベースとしたオープンな電子書籍フォーマットとされ、縦書きやルビなど日本語を含む多国語での表示を可能にしている国際化仕様となっているとの事です。また、将来Web標準となるHTML5をベースにしていることもあり、各ブラウザ実装が期待できる上に各種電子書籍リーダーでも採用される見込みです。

今後は「EPUB 3準拠」などとしてリーダーやコンテンツが登場することで消費者が書籍を購入しやすくなる環境が整ってくることが予想されます。将来EPUBが普及するならば、EPUB後継仕様/実装には以前に購入した書籍を閲覧可能にする、変換や後方互換性を伴うことにも期待したいものです。

ところで、好きな本は時間が経った後で、何度か読み返したいものです。何故なら、読む本が同じであっても読み手である自分自身の変化によって理解できる箇所は増し、また受け取る事の出来る印象や味わいも大幅に変わってくるものだと思うからです。

この点については電子書籍ではなく、「紙の本」をご紹介します。昨年末に出版された「もうすぐ絶滅するという紙の書物について」です。

著者はウンベルト・エーコ氏とジャン=クロード・カリエール氏。対談本です。ジャン=クロード氏はフランスの脚本家、俳優であり、ウンベルト・エーコ氏は、著名な小説『薔薇の名前』の作者です。この小説ではウィリアムとアドソの師弟コンビが正にホームズとワトソンを想起させます。他のエーコ作品でも意図的に歴史的背景や他の文学作品へのオマージュとも言えるアナロジーや薀蓄を含んで描写しています。ですから「紙の書物について」でも愛書家である彼等が薀蓄の博覧会という様相を呈しています。紙の本に対する愛情とデジタル化されたメディア論に博識を以て一石を投じた内容です。

機会があれば、綺麗に装丁されたこの「紙の本」も御一読ください。

先程紹介した作品『薔薇の名前』は、ショーン・コネリー主演で映画化されています。舞台は活版印刷術が普及する以前の教会で写本の時代です。修道士が手書きで複製した大切な「写本(知識)」が図書館の火事によって、儚くも失われるせつなさが神々しくもあり荘厳にその無常が謳われています。

活版印刷の発明が「書籍」の普及を可能にしたことで、個々に保有する知識や技術、果ては心情に至る情報を伝播する方法が確立しました。また、過去の人々の経験を擬似体験する、または信条や考察を垣間見る、更には空想の世界を旅することを可能にしてくれました。書籍を通じその時代に生きている人々の考えや行動に影響を与え世界を変えてきたのは揺るぎない事実です。

現代ではインターネットにより様々な境界を超えての情報交換が劇的に簡易化されました。これに加えて、電子書籍が国境の制約を越えて、知識の流通が始まるとなれば、新たな時代への変革を更に足早に迎えることになるであろうと想像されます。

直近ではAmazonは先行する音楽配信と同様に電子書籍もウェブアプリ版の提供を始めています。現行の主要なブラウザに対応した実装は、HTML5ベースであり、ローカルストレージ新機能の採用によりオフラインの閲覧も可能にしていることが大きなメリットの一つとなっています。また独自でAmazon Silkという革新的ウェブブラウザを自社のKindleに搭載する事でオンライン/オフラインの連携をEC2(サーバ側)とSilk(クライアント側)で処理を分散する仕組みを提供することで、「シームレスな環境」の実現を期待させます。「継ぎ目が無い」状態が、インターネットを快適にするために越えるべき大きな象徴の一つであると考えられますが、電子書籍はその解決策の1つの候補として登場しているのかもしれません。

「もうすぐ絶滅するという紙の書物について」を図書館で電子ブックリーダー片手に読む日も遠くないのかもしれません。では次回をお楽しみに。

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http://www.school.ctc-g.co.jp/cldvir/

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