【自著紹介】ひと目でわかるAzure「基本から学ぶサーバー&ネットワーク構築」改訂新版
久しぶりに書籍を出版することになった。『ひと目でわかるAzure「基本から学ぶサーバー&ネットワーク構築」改訂新版』である。
2015年8月に出版された書籍の改訂版だが、50ページほどの加筆と全面的な見直しを行っている。もちろんリソースマネージャーとAzureポータル(新ポータル)対応である。
仮想マシンの構成はもちろん、管理ディスクの使い方や仮想マシンバックアップからファイル単位で復元する方法や、VNETピアリングなど、新しい機能についても解説している。ただし、前著同様個人での利用を想定したため、サイト間VPN接続は今回も含めなかった。
2015年に出版されたときの紹介文が『ひと目でわかるAzure「基本から学ぶサーバー&ネットワーク構築」』である。Azure、というよりクラウド全般に対する気持ちは当時と変わっていないが、特に今回は、派遣社員や契約社員、フリーランスとして働くエンジニアが利用する場合を意識した。米国では労働人口の4人に1人がIC(独立コントラクター)らしい。日本では、純粋なIC(フリーランス)は案外少なく、派遣会社に登録する人が多いようだが、いずれにしても非正社員は増加しているようだ。
エンジニアの学習環境の整備は正社員でも難しいのに、非正社員まで手が回る会社は少ない。かといって自宅にサーバー環境を作るのも難しい。IT系の勉強会では「どこの家にでもあるサーバーラック」という表現がしばしば登場するが、あくまでも「ネタ」としての表現で、実際に持っている人は多くない(かといってそれほど少なくもないのが恐いところだが)。クラウドサービスを使えば、必要な時に必要なだけサーバーを調達できるので、最小限のコストで学習が可能になる。
改訂新版の前書きから引用する。
1980年代に登場した「パーソナルコンピュータ(PC)」は、「自分だけのコンピューターが使える」という「わくわく感」がありました。しかし同じコンピューターであっても、PCと企業システムでは構成が大きく違います。企業システムでは、複数のサーバーを連携させることで、高い機能と信頼性を実現していますが、PCは1台で利用するのが基本です。仮想マシンを使うこともできますが、個人用のPCで企業システムを構築するのは性能的にも容量的にも限界があります。
一部のパワーユーザーは自宅にサーバーラックを持ち、企業システムとほぼ同等の環境を構築しているようですが、場所も費用も現実的ではありません。フリーランスのプログラマーが、企業システムのプロトタイプを自宅で構築するのは、現在でもかなり無理があります。
そこで利用したいのがクラウドサービスです。使いたいときに、使いたいだけ使い、使った分だけ払えばよいので、短時間の利用であれば最小限の出費で抑えられます。継続的な運用を行う場合は、クラウドの方が安いとは言い切れない場合もありますが、一時的な運用ではクラウドが圧倒的に有利です。サーバーの学習教材や、テスト環境としては最適でしょう。
本書は5月26日から一般販売予定と聞いているが、5月23日から始まるマイクロソフトの技術イベント「de:code 2017」で先行発売される。手に取って内容を確認できるので、イベントに参加される方は日経BP社のブースにお立ち寄りいただければ幸いである。
なお、書籍の帯にはMicrosoft Azureの公式キャラクター「クラウディアさん」が描かれているが、気になるようなら帯を外せばいなくなるので安心して欲しい。ちなみに、前著のクラウディアさん(初版のみ)はマイクロソフトが提供する画像をそのまま使わせてもらったが、今回はキャラクター画像を元にイラストレーターの「なこ(豆太)」さんに書き起こしてもらった。「de:code 2017」で本書を購入すると、このイラストのクリアフォルダーがつくようだ。
ところで、Linuxについては最小限の説明しかないのだが、なぜかAmazonのランキングでは「本 > コンピュータ・IT > OS > Linux」にランクインしていて、Windowsにはランクインしていない。「本 > コンピュータ・IT > ネットワーク > サーバ」にランキングされているだけである。