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モバイル業界にながくいた新米教授のよもやま話

スマートホン2G

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前々回、Mobile 2.0について述べたのに引き続き、「2」繋がりでスマートホン2Gについて述べようと思います。ここで言っているスマートホンは、PDAライクな高機能ケータイのことです。
何故か、世代の表現方法は業界によって異なります。移動通信業界では世代を表すために2G、3Gのように「G」を使っています。スマートホンは、移動通信業界の製品っぽいので、「G」を使う事にしました。

ウィルコムはW-ZERO3を、ドコモはM1000に引き続きhTc ZとBlackBerry 8707hを出し、NOKIAはE61をだそうとしています。デジタルガジェット好きにとっては、まさにブームと言える状況にあります。この現象を筆者が勝手にスマートホン2Gと呼ぶことにしました。

ところで、今回のスマートホンブームは2Gじゃなくて1Gじゃないのと思った方も多いと思います。実はちょうど10年前に最初のスマートホンブームがあったのです。筆者もその火付け役の一人で、それが縁で若き日の広末涼子と話してしまいました。この経緯は、風がふくと桶屋が儲かるの類ですから、省略しましょう。
私が開発に係わったスマートホンは、当時パームトップコンピュータとして絶大な人気があったHP-100/200LXに携帯電話機能を詰め込み、更に携帯電話と見做せる大きさをキープすることを目指しました。プロトタイプを作製し、ジュネーブで開催されたテレコム'95に持ち込みました。かなり注目を集めたと思います。特にノキアの関係者が入れ代わり立ち代わり来ました。半年程して、そっくりと言っていいコミュニケータが発売されたのにはビックリでした。
それ以前に発売されたスマートホンはベルサウスから発売された1機種だけで、成功とはとても言えるものではなかったので、ノキアも同じようなプロジェクトを起こしていたので驚きました。残念ながら我々のスマートホンは性能が思うように出ず、発売を断念しました。しかし、その後、日本ではPHSを搭載したスマートホンが松下、東芝そして京セラから発売されました。
しかしながら、いずれも成功する事なく市場から消えてしまいました。
その後に表れたのがiモードです。これは、ご存知のように大成功し、ブラウザの搭載されていないケータイは無いという状況になっています。(この差は何だ!!、とほほ・・・。)この失敗した経験から、今回のブームによりスマートホンが市場に根付くか心配でなりません。

失敗の経験から学んだ事は、
・スマートホンのマーケットは、普通のケータイ市場より1桁ひょっとすると2桁近く小さい。
・アプリケーションがリッチである分、ハードウェアコスト及び開発コストが増大する。
・あくまでもケータイとしての大きさを維持していないとユーザは受け入れない。
です。
ビジネスコンシューマ、まさにオルタナティブ・ブログのブロガーや読者の層をターゲットにしたのですが、全く見向きもされませんでした。その時は、日本にビジネスコンシューマ市場ってあるのか懐疑的になってしまいました。

少なくともノキアのE61はかなりマニアックなので、PDAオタク市場には充分に受け入れられると思います。問題はより一般的なビジネスコンシューマに受け入れられるかです。最近のユーザは、高機能化に伴う大型化に慣れてきたので、大きさの点では問題無いと思います。ちょっと心配はノキア独特のユーザインターフェイスです。それ以上に心配なのは、「ビジネスコンシューマが十二分に高機能している現在のケータイより更に高機能しているケータイを望むか?」です。
かく言う私は、この原稿をごく普通のケータイで書いており、アドレスもスケジュールもケータイで管理しています。ケータイとPDAの2つを持つのが面倒になり、ケータイ1つに絞った当初は、文字入力とPDAとしての機能のプアーさに苛立ちましたが、知らぬ間に慣れてしまいました。
最近のケータイは、必要十分じゃないけど、必須機能はあるスマートホンと思えるのは、私だけ?

でもE61が出たら買うつもりです。

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