ETロボコン参戦記 ~ 3年目は東と西から~ (1/6)
2005年から私が所属します富士通ラーニングメディアでは、ETロボコンに参加してきました。毎年、ETロボコンに参加したメンバーが、大会参加をとおして感じたことや気づいたことを参戦記としてまとめています。今回からは、昨年(2007年)の大会についての参戦記を6回にわけてご紹介します。 2007年は、これまでと異なり、東日本、中日本、西日本の3地区で予選会が開催された年でした。私の会社は、当時は東京と大阪に事務所を構えていましたので、東日本と西日本にそれぞれ1チームずつ出場したのです。 これからETロボコンに参加しようとお考えの皆様に、どのような感じで進めていくのか、大会はどんな感じのものであるかの参考にしていただければ幸いです。 【アクティブウィングRC ~1/3~】 ●ETロボコンへの初参戦! 2007年2月。東京の部署からもETロボコンに初参戦することになりました。大阪の部署では、過去2年間の参加実績があり、その情報を東京でも活用し、スキルアップや人脈形成を目的として、プロジェクトを立ち上げました。 まずは、ETロボコンとは何か?どんな雰囲気で、どんな環境で行うのか?LEGOの動かし方は?というところで、新品のLEGO走行体を組み立てるところから始めました。(部品がいっぱいで大変でした・・・) 今年からETロボコンは参加者増加により、関東、東海、関西の予選会、本選を経て、チャンピオンシップ大会へ選出されると聞き、「全国制覇への道のりは長いなぁ」と思いながら、「まだ時間もあるし、なんとかなるかぁ」とぼんやり挑戦が始まったのでした。 メンバーに立候補した参加者は、C言語担当、組込み系、モデリング、社外PRの得意な宴会番長など、それぞれの持ち味を活かせそうな面々が7名集まりました。 まずは、走らせてみて、どのような走行戦略でコースを攻めるかをみんなで議論しました。当面の目標である1回目の試走会では、通常走行するものを用意しひたすら情報を取得すること、2回目の試走会では、ほぼ形を作り上げ、調整を行うように計画を立てました。目標は「予選突破!」そのために無理はせず、安全走行で高速に走りぬけることにしたのでした。 ●1回目の試走会で・・・ 5月26日(土)、記念すべき試走会の1回目です。 華麗な走行を披露して、華々しくデビューする予定日でした。 しかし、現実は・・・ 準備不足や打合せ不足等々があり、一度も走らせることが出来ずに無念の帰還を果たしました。 前向きな私たちは「他のチームの方の様子を見に来た」と勝手に納得をして、気を取り直したのでした。 後日、チームメイトに試走会報告をなかなか言い出せなかったのは、言うまでもありません。 ●熱いプログラマーの奮闘! 1回目の視察(試走)を踏まえ、きっちりとプログラムを作りこんでいくことを決意した私たちでしたが、その中で、熱いプログラマー鈴木氏が、先陣を切って立ち上がったのでした。 『ロボコンって面白そうだなあ。でも、どんなモノかも解らないし、とりあえずメンバーと仲良くなれるよう、下働きでもいいから少しでも力になれればいいかな。程度のつもりで参加したロボコンだったが、やってみたら思ったよりもハマッてしまった。』(鈴木) まずは、A3の紙にコースを印刷して貼り合わせ、テストコースを作成。昨年のプログラムで走らせて見ると、思いのほか簡単に走ってしまう。「これなら楽勝だな。難所も挑戦してしまおう。」と思ってしまったのが運のつきだった。 難所でも簡単そうなのは、Zクランクよりも点線走行だ。まずは点線走行突破を目指して開発を開始する。最初に難所の認識のためのマーカー認識を試みた。ところが、全く認識する気配がない。それどころか、すぐさまハンドルモーターが振り切れ、そのたびに「バキッ」「ボキッ」とセンサーが外れる始末。この音が心の折れる音に似ているせいか士気は下がる一方。「ダメだなあ」やはり、ちゃんとソースプログラムを検証しよう。あらためてきちんとプログラムを確認しはじめたのは、遅ればせながらこの時からだった。 よくよく、プログラムを見ると、マーカー認識に修正の余地を発見。これなら認識しないはずだ。すぐさま修正して、走らせてみたいところだが、テストコースはそう簡単には広げられない。時間を合わせ、場所を確保して何とか試してみると、心の折れる音はしなくなった。どうやら方向性は間違っていない。ここから開発のスピードは加速していった。 マーカー認識はなんとかなりそうだ。それなら点線ロジックを考えよう。惰性で走らせる、飛び石で点線を越える、いや点線を全部認識しないと安定しない。いろいろ検討して安定度はイチローの打率程度までは上がってきた。でもドカベンの打率くらいにはあげなくては挑戦するには怖い。8割を超えたのは丑三つ時を過ぎたころだった。もう、家には帰れない。朝まで寝ていくか...。そんな生活の中、2回目の試走会に挑むことになりました。 ●2回目の試走会は、充実 朝9時~11時の間に2回目の試走会が行われた。 到着後、早々にマシンとLEGOを取り出し、昨日まで取り組んできた点線に挑戦!! コースのラインの色、マーカーの色を調べ、点線走行のプログラムを調整し、マシンへプログラムをセットしました。 「本番コースなら意外と成功率が上がるのでは?」といった期待を胸にコースへ出陣。 順調な走り出しから、早速マーカーを見事に認識し、点線に突入! 「おっ!もしかして・・・」と思ったそのとき、コッ!コースアウト!!! 「まあ、次は何とか・・・」と思い、再度突入!突入!突入!・・・ しかし、なかなかうまくいかない。 やっぱり、本番コースだからといって成功率が上がらないことをようやく認識したのでした。 気づけは、あと10分! 点線走行に熱中するあまり、通常走行のチェックをすっかり忘れていた。 「このままでは、チームメイトに怒られてしまう!」急いで、プログラムを入替え、通常走行のチェックを行い、見事に、ゴールイン! インコース44秒 2回目の試走会では、大きな収穫がありました。それは、自分たちで作成したテストコースが本番コースと同じくらいの精度で出来ていると言うことです。帰ったら、テストコースで頑張ろう!と心に決めたのでした。頑張るぞーっ!!! ●予選会へ向けて奮闘再び・・・ 2回目の試走会で得た情報を踏まえ、より精度を高めるための奮闘が再び始まった。 マーカー認識はなんとかめどがたち、点線ロジックを考え始めました。惰性で走らせる、飛び石で点線を越える、いや点線を全部認識しないと安定しない。などなど、いろいろ検討して安定度はイチローの打率程度までは上がってきました。でもドカベンの打率くらいにはあげなくては挑戦するには怖いため、徹夜を覚悟で作業に取り組みました。そして、真夜中に点線走行はドカベンまでたどり着き、あとは全体を走行させて確認すればOKというところまで精度を上げることができました。マーカーの認識もばっちりのはずでした。「ほら、マーカーでは確実に認識しているじゃないか。・・・あれ?」なんと、マーカー以外でも度々誤認識してしまう事態に陥りました。 予選の日まで、残された時間から、目標は予選突破であることを再確認し、通常走行で高速に走りぬけ、タイム勝負で予選に臨むことになりました。
東日本地区は「アクティブウィングRC」チーム、西日本地区は「KnowledgeWing」チームとネーミングして、それぞれ別々に活動を繰り広げていきました。
では、まず前半3回は東日本地区で出場した「アクティブウィングRC」チームの参戦記からご紹介していきましょう。
アウトコース44秒