議会は踊る(Linux上で)
今回は、若干ネタが古いものになりますが、ドイツのオープンソースソフトウェア(OSS)事情の一例を紹介してみたいと思います。
欧州でOSSへの取り組みが比較的盛んなことは知られていますが、今回の話はドイツ連邦政府レベルのOSSに対する取り組みについてです。
ドイツでは2002年1月から、『Bundestux 』(ブンデスタックス)というOSS推進キャンペーンが「オンライン・イニシアチブ」という形態で進みました。これはWeb上での市民の発案による自発的行動に端を発したもので、新たな民主主義の成功例として評価されています。『Bundestux』 とはドイツ語で「連邦議会」を意味する「Bundestag」とリナックス「Linux」をかけ合わせたものです。若干違うかもしれませんが、いってみれば日本の温暖化防止キャンペーンの「クールビズ」のようなノリでしょうか。
『Bundestux』の本来の目的は、参考資料を直訳してみると、
“ドイツ行政府内の基幹システムをWindowsからLinuxに切り替えること”
というものすごくシンプルなものです。その他細かい説明はありますが、やろうとしていることの意図を要約するならば、「脱microsoft」ということにつきます。
注目すべきはこの動きが民間から起こったことで、ついには連邦議会を動かしてしまったことなのです。
このキャンペーンには専用のWebサイトが設けられ、開始からわずか2ヶ月で28,000人以上の人がWeb上での「支援表明、署名」を行い、Linux導入を支持しました。
この動きに対応せざるを得なくなった連邦政府は協議を重ね、2002年3月14日ドイツ上院議会で、部分的ではありますが、政府内基幹システムでのLinux導入が可決されました。この間、約2ヶ月。このスピード感本当にすごいですよね。日本の行政府も見習うべきことが多そうです。
“私たち一人一人の目と耳は限られています。だから皆さんが得た国内外の最新OSS情報をお寄せくださることをお願いしたいのです。”
※ Neue Welleとはドイツ語で「新しい波」という意味です。