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事業グローバル化における戦略と人はどうあるべきか? そのヒントとなるべき考察と事例集

”フリーミアム”はマーケティング施策かビジネスモデルか?

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クリスアンダーセン氏の著書”フリー”では、”フリーミアム”とは、主にインターネット企業がサービスを無料で提供することで認知度や評判の向上させ、一部の有料(プレミアム)ユーザーに課金することで評判を換金化するビジネスのフォーマットだと述べられています。

ビジネスモデルのごとく述べられていますが、無料サービスの提供しユーザー数を増やすことは、単なるマーケティング施策でしかならないこともあります。そもそも”フリーミアム”とは、マーケティング施策なのか、それともビジネスモデルの一部なのでしょうか?

”フリーミアム”という用語自体、マーケティング施策として、またはビジネスモデル(ビジネスの仕組み)としての意味が混在しています。実際、これらの二つはそれぞれに大きく異なります。

マーケティング施策かビジネスモデルかの答えは、企業が自社のビジネスの中でどのように無料サービスを位置づけるかによります。これは無料サービスを単なる認知度向上のために用いるのか、それとも広告モデルと組み合わせ、全体的な仕組みの一部として提供するかです。

例えば人間の外部記憶媒体としてのツールを提供するEvernoteでは、, 基本サービスを無料で提供し、かつ他の機能を使うヘビーユーザーには、毎月5USDを徴収しています。この場合、無料サービスとは、認知度を向上させ、より多くのユーザーに使ってもらうためのマーケティング施策です。

他の事例では、SNS (Social Networking Site)としてのNingが、無料サービスをやめ、全て有料サービスへの転換を発表しました。Ningの場合、ユーザー数を集めるために無料サービスを一時的に提供したことになります。集客した無料ユーザーを有料ユーザーに変えるべく、大胆な転換を行いました。

対照的にGoogle Earth、およびブログアプリケーションのTypepadなどは、無料サービスを単なる認知度向上や製品機能の紹介だけにとどまりません。無料サービスには、同時に広告サービスも合わせて提供することで、広告費としての収益も確保しています。単なる無料サービスの提供のみならず、広告費モデルと組み合わせ、収益化できるビジネスモデルとして提供しているわけです。

新しいビジネスの仕組み(ビジネスモデル)に聞こえるような”フリーミアム”ですが、マーケティング施策として活用するか、それともビジネスモデルとして活用するのか、企業がどのように無料サービスを位置づけるかにかかっています。 

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