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事業グローバル化における戦略と人はどうあるべきか? そのヒントとなるべき考察と事例集

モチベーションの科学とアート

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"Higher incentive led to worsen performance"(より高い金銭的インセンティブが、悪い業績を招く)米国政府の金融業界レポートで述べられている一節です。

Daniel Pink氏が”Science of Motivation”と題するプレゼンテーションで触れられています。(TED Presentation) プレゼンテーションで、彼はより高い金銭的インセンティブが、悪い業績を招く事に触れ、必要なのはAutonomy(自立性)ではないか、と問いかけています。

政府レポートによれば、個人の業績に関わらず、高止まりする金銭的インセンティブが悪い業績を招いたことを指摘しています。またこの高い金銭的インセンティブこそ、今回の金融危機に関わる要因としても述べられています。

ただしPink氏の言うような自立性を社員に与えることは、企業組織の運営と相反しかねません。組織とは、そもそも共通した目的や目標を持つ共同体です。自立性を与え、各マネージャーが個別に行動すれば、組織に混乱が生じます。いや、そもそも目標や目的を共有しないグループは、組織ではなく群集と呼ばれるべきでしょう。

モチベーションとは、科学というよりもアートに近い位置づけを持ちます。動機付けの要因とは、個人によりすべて異なるという事実です。一方ではより高い報酬や社会的地位に動機付けられれば、他方の将来の目標や生活するための糧としての職の捉え方があります。そしてこのモチベーションは、スキルや能力と異なり、目に見えず、そしてわかりにくい要因でもあります。

マネージャーができることは、おそらくモチベーションを向上させるような施策よりも、モチベーションを阻害する要因を取り除くことでしょう。米国心理学者、Frederick Herzberg氏の二要因理論(Herzberg’s two-factor theory)にあるように、動機付ける要因と動機付けを阻害する要因とにわけて論じています。動機付け要因をおさえるより、阻害要因を取り除くことに注力することではないでしょうか。

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