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事業グローバル化における戦略と人はどうあるべきか? そのヒントとなるべき考察と事例集

事業領域が競合を決める

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「ソニーはエレキの会社になるのか、(映画など)娯楽の会社になるのか」*

記者会見で上記の質問を受けたCEOは、「エレキの会社だ」と答えた*といいます。 この回答は自社の事業領域を明快に定義し、電気機器製造会社としての存在意義を示したように見受けられます。

かつてソニーでは、1995年にデジタルドリームキッズをビジョンのキーワードにすえました。**これはデジタル技術やコンテンツに魅せられる将来の顧客でもあり、自社の価値観でもありました。当時はアナログ技術からデジタル技術への転換期でもあり、コンピューター時代の幕開けです。ハードウェア、コンテンツ、ネットワークの融合を目指した拡大戦略は、斬新で創造的な事業領域に基づいてました。この事業領域の競合他社とは、コンテンツを持つエンターティメント産業でもあり、ディズニーランドさえもが主要競合他社となりえます。

今回、エレキの会社だと定義したことにより、製造業への回帰に戻るようにも見えます。現在では、映画・音楽・金融までの多様な事業を抱える複合企業(コングロマリット)ですが、再編成も考慮していくのかもしれません。エレキ会社としての事業領域では、日系のエレキ会社でけではなく海外の大手エレキ会社も主要な競合他社となります。

事業領域を正しく設定するためには、いくつかの要素を考慮する必要があります。それは1)外部環境の変化は何か、2)自社の理念・目標は何か、そして3)自社の強みは何か、またこれら3つの要素が一貫性を持つことのできる適切な事業領域の設定です。要は大きな外部環境の変化を捉え、自社の強みを育て活用し、適切な目標を導出できる事業領域は何なのか、が問いかけとなります。そうして初めて競合他社が明確な輪郭をもって現れます。

もちろん数多くの外部環境の変化や新しい競合他社の台頭に伴い、事業領域も確認されるべきものとなります。であれば適時に自社の事業領域を見直すこと、または確認することがより重きを増していくのでしょう。環境変化が激しい中、3年に1回の中期経営計画だけでは間に合わなくなっているの現状です。年毎、いやそれ以上の頻度で自社の事業領域について討議していくことが必要なのかもしれません。          

出所)*日本経済新聞2009年3月1日朝刊 **Sony Website、"Sony History"より抜粋

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