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事業グローバル化における戦略と人はどうあるべきか? そのヒントとなるべき考察と事例集

日本的なGoogle経営

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意思決定や組織内コミュニケーションの視点から見ると、Googleの経営スタイルは日本的だと思いませんか?

株式市場の観点から見るとGoogleは間違いなく米国の革新的新興企業です。イノベーティブなサービスを提供しつづけ、設立から10年もせずに業界リー ダーの地位を獲得しました。しかし経営の観点から見ると、Googleはかつての古き良き?日本的経営だと見えるのです。彼らの経営スタイルは、かつての アングロサクソン型経営(トップダウン型意思決定、統制と指揮、個人主義、そして優秀なトップが会社をダイナミックに動かす)とは大きくことなります。

Google 経営モデルに関して言えば、その規律はルール、そしてワークスタイルが日本的経営であり、米国型とは大きく異なります。


彼らの固有の経営スタイルとは、流動的なプロジェクトベースの仕事と、合意主体の意思決定スタイルにあります。主に以下のようなルールが象徴的です。
-10 Golden rule:マネージャとは意思決定者ではなくアグリゲーター(情報を集め合意を促すファシリティター)
-合意型意思決定:3人のトップによる合議制、および合意形成の推奨
-インタラクティブなメカニズム:顧客や同僚からのフィードバックによる評価
-ダイナミックなワーク基盤:Webベースのアプリケーション


こ れらの規律やルールを見ると、Google経営スタイルとは、プロジェクトベースの仕事を中心とした、1970-80年代の日本企業の生まれ変わりのよう にも見えます。革新的米国企業であるGoogleが一連の関係者との合意に重きを置いている事実は、刺激的です。特に社内の同僚や関係者のみならず、社外 である顧客やユーザーとのインタラクションも合意形成プロセスの一部となります。Google Labなどが社外向けインタラクションの表れです。

一般的にあげられる合意型意思決定の欠点として、合意形成までの時間がかかることがあげられます。しかしGoogleは、Webベースのアプリケーションツール(
Gmail、Chat、Docsなど)を活用することで、欠点を克服しているようです。いわばアプリケーションツールが社内ルールや規律と補完関係にあるのでしょう。

将来において、Google以外にも合意型経営モデルが出てくるのではないでしょうか。”将来の経営”としてGary Hamel氏が述べているように、Googleの経営スタイルは間違いなく将来の経営像や役割に示唆を与えていくのでしょう。

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