富裕層セグメントとステージ -Segmentation and stage of rich class -
前回に引き続き、富裕層セグメントやその成長ステージについて考察してみます。
富裕層とは資産形成の方法から、大きく二つのセグメントが存在します。一つは親・遺族の資産を相続した、いわば生まれながらの伝統的資産家、二つ目が新規事業を起こし、成功した事業家らのニューリッチ層です。資産形成方法が異なる故に、消費性向も大きく異なると思われます。
具体的に新興国の中国富裕層のセグメントをみてみましょう。World Wealth Report によると、純資産1mUSD以上を保有する中国の富裕層は約41.5万人ほど。 ただし資産形成方法からみた中国富裕層セグメントは、親・遺族からの資産を譲り受けた伝統的資産家は少なく、一代で資産を形成したニューリッチ層が大多数だそうです。これは中国の経済成長に伴うベンチャー・新規事業の立ち上げ、株価と地価の上昇が支えています。(Financial Times, July 8, 2008, : Strange fortunes of China's super-richChina super rich)
対して米国富裕層は伝統的資産家がほとんどと思いきや、中国富裕層同様、富裕層のほとんどがニューリッチのようです。少し古いFinancial times の記事にある調査では、5mUSDを純資産として保有する富裕層の内、約97%がニューリッチ層だそうです。彼らは1980-90年代の米国で事業を起こし、ベンチャーキャピタルの新興とともに富裕層になったようです。(Financial Times Dec 13, 2005: Rich, but not fortune's fools)
富裕層率が全人口の1%と高い米国においては、富の循環が良いということでしょうか。ベンチャー企業家を投資、育成から支援し、チャレンジを尊重する文化がニューリッチを生み出しているのでしょう。対して新興国の中国は、経済成長そのものがニューリッチ輩出の原動力となっています。
では日本ではどうなのでしょうか?
小生の推察だと、米国や中国よりも伝統的資産家層の割合多いのではないかと想像します。それは中国とは異なる低い経済成長であり、米国とは異なるベンチャー事業の受容性の低さを考えると、半分くらいが伝統的資産家ではないでしょうか。皆様はどう思われますか。
最後に富裕層のステージを見てみます。前出のFinancial Timesによると、富裕層とは一晩で大金持ちになるのではなく、長年の努力の結果であり、3つのステージがあるとのこと。資産の保有期間が5年以下は見習い(Apprentice),5年から15年までが旅人(Journeyman), そして15年以上は師匠(Master)と進化していくようです。
まさにローマ(お金持ち)は一日にしてならず。 Rome was not built in a day!
ただしこれらのステージは、富裕層のみを後づけで分析した結果論であり、必ずしも旅人(Jorneyman)や見習い(Apprentice)が、すべて士(Master)になれるわけではありません。
次回は通信業界の市場ライフサイクルについて述べてみます。