「わかっている」のか「わかっていない」のか
説明された側が「わかっている」のか「わかっていない」のか、それがわからないことが多々ある。「わかっていない」ことをわかるにはどうすれば良いか、少し考えてみた。
毎年支援している、システム要件定義〜納品までを経験する新入社員研修で、システム要件定義の一部である機能一覧を作成してもらった。成果物を確認した後に結果をフィードバックする。
「機能一覧について記述があいまいな箇所があるので、修正してください。」
「はい。わかりました!」
このやりとりだけでは、このあと満足のいく成果物が新入社員から出来てくることは、まず、ない。新入社員の「わかりました」は、大抵は「わかっていない」からだ。
では、新入社員が「わかっている」のかを確かめるのにはどうしたら良いか。
これまでの経験で有効だったのは、単純ではあるが、新入社員にどう修正するのかを「説明させる」ことだ。「どう修正するつもり?」「あいまいでない記述とはどういうこと?」と問えば良い。明確に回答があれば「わかっている」と判断できるだろうし、回答がなければ、もしくは不十分であれば「わかっていない」と判断できる。
コミュニケーションでは、「発信者が正確に伝える」「受信者は正確に理解する」「発信者は受信者が理解したことを確認する」のが基本だ。上記の会話では、この最後のステップが抜けている。そのため、実は「受信者が正確に理解できていない」ことを発信者が確認できていないのだ。
「わかりました」という自己申告だけでは、相手の理解度を測ることはできない。具体的に説明させることでどこまで「わかっている」のかを確認することができる。
これは新入社員に限った話しではないだろう。
「わかっていない」ことをわかるにはどうすれば良いか、他の工夫はないか、もう少し考えてみたい。