セキュリティーはわりきり、基幹系では使わない
3月26日に日経コンピュータ主催で行われた、「クラウドが経営とITに与えるインパクト」というセミナーに行ってきました。その中でローソンCIOの横溝氏が、Salesforce.comのForce.comを情報共有基盤として採用して展開したことを、講演で話されていました。
その中で、クラウドのメリット・デメリットについて触れています。そのデメリットについてですが、Force.comの開発の環境や機能の制約、コストが高くなるポイントなどを指摘しているだけで、多くの方がいつもクラウドで議論する、セキュリティーとSLAについてはあげられていませんでした。
意外だなと思い質問してみると、その答えが実に端的に返ってきました。セキュリティーはある意味でわりきりで、センター側より個人個人の課題のほうが大きく、トップの意識と個人への啓蒙といったことが大事。SLAに関しては、受発注など生命線のシステムをクラウドでやるつもりはなく時期尚早、といった表現です。さすがにローソンのCIOだけあって、それが他と比べてどうといった技術比較論に陥るのではなく、あくまでどう考えるか、どう使えるかというポイントでシンプルに答えられていて感心しました。
考えてみれば、新しい技術の登場では常に過去のものとその性能や性質が比較されます。メインフレーム、クライアント・サーバー、インターネットときても、やはりセキュリティーや可用性ではコストを考えなければメインフレームと専用線の組合せが一番と言えるでしょう。また、時々PCのアプリケーションがクラッシュしてファイルが壊れても、時々セーブやバックアップをして仕事で使い続けている自分の姿もあります。
メリット・デメリットの議論に対する横溝氏のまとめは、これもシンプルかつ端的でした。「どの領域でクラウドを活用するのかの見極めが大切」。この姿勢で新しい技術を見ていきたいものです。