コンサルタントという職業を選ぶかわりに失うもの

気がつけば20年以上この業界で仕事をしている。転職こそ1回やっているが、好きで「今のところ」この仕事に従事している。どういうことが起きてもどういう目にあっても悔いもないし、それこそ本懐というものだ。

平日は仕事三昧、会食もあるから深夜まで当社や客先で通常業務にふけっているわけではないけれど、気持ちはもちろん仕事全開モードで夜更けまで過ごし、帰宅して就寝直前にようやくプライベートモードに切り替わる。

なんかかなりの頻度で寝言言うらしいです。「あーそれならたぶん大丈夫！」とか「ええー？それはまずい・・・」とか言ってるらしい。時には英語らしい（泣）。自分では気づいてないんでしょうけどそれなりにストレスがかかっているってことですね。

でも早朝またすぐ起きて徐々にビジネスモードに戻る・・・睡眠5時間の私の場合、約7時間がプライベートモードです。なので時々妻に「うちは『平日母子家庭』ってやつかね！」って嫌味を言われます。

10年くらい前の独身時代、そういえば当時の彼女と半同棲してた頃、半年くらいすごい仕事が忙しくて平日は深夜3時に帰宅して翌朝9時出社を繰り返し、土日もほとんど昼から出社、夜11時過ぎに帰宅みたいな感じで・・・ある日、次工程の提案をなんとか無事おえて雪がちらつく夜に帰宅したら、

「サヨナラ。」

って書いてある紙が洋服ダンスに入っていて、その引き出し群にあった彼女の衣類やその他洗面・入浴道具が一式なくなっていました。「出会えたことを神様に感謝しています」だって・・・ひでー神様（泣）。まあ悪いのはもちろん自分だけど。。。

当時独身とはいえ自分も結構に浮気性で彼女も一方で海外旅行にいく男友達がいたりと変な関係・・・だからそれでも3年くらい付き合えてたけど、まあ限界だったんでしょうね。

激務のオトコにとって、交際相手の存在は結構に大きいらしい。

そして・・・その後少したってつきあった人が今の妻になります。

まあ最後に恐妻におちついたおかげで、今の私は安全そのもの（爆）、浮気性はどこへやら。もうそんな恐ろしいこと、絶対できませんな。^^;

ふりかえればそんな話もあるし、今でも妻子には明らかに共有する時間が圧倒的に少ないわけで、それはきっと家族にとって不満でしかないだろう。それでも好きでこの仕事をやっている以上、簡単に職代えできるわけもない。

健康も犠牲になっているだろうな。激務な仕事は世の中にいっぱいあるだろうけど、これも激務な業界だし、最近はトシとったからか、運動量が多くて疲れたときよりも、頭脳をすごいフル回転し続けて精神的に疲れたときの方が圧倒的におなかが空きます（苦笑）。それだけ脳がいろんな栄養を酷使して仕事への集中を維持しようと活動してるんだろう。医学的根拠はないけれど、そんな平日の繰り返しを感じていると、自分の健康状態なんてそうそうGOODなわけがない。

なのに・・・健康診断は「肝臓ぎりぎりイエロー」（レッドじゃないが一歩手前）以外は良好そのもの？ホントかな～、なんか我ながらかえって心配である（笑）。

というわけで、交際機会、家族生活、健康については何らか犠牲が発生していることを自覚しているが、最近、もう１つ明らか犠牲を感じるものに、個人的には気づいた。

経験機会、いや「勉強機会」というべきか。なんかいろいろ勉強するチャンスを、物凄く偏った領域のみ習得、修練し、醸成しているような気がしてならない。

一芸秀でるのは、コンサルタントとしては本懐なのであるが、時々思うのだ。一人の人間として、つまり一般的に言うビジネスパーソンとして、親として夫として、そして北添家の長男（実家からみて）として、等々、そういう見方では、かなーり、偏った人間、すなわち「変人」なんだろうなと。

ま、変人だとして、別に変態じゃないけど（爆）。

例えば英語にしたって、妙に自分のビジネス世界で必要な言い回しばかり上手になっちゃって、普通の生活会話はたいしたことないし（泣）、会計知識や法務知識も中途半端に物知りではあるが、別に会計士や弁護士資格もってるわけでもその域に達しているわけでもない。

息子に勉強を教えるほどに現代の教育プログラムからすっかり疎くなっているし、生活に必要な躾の面だって、家族に誇れるほどに立派な素養を身に着けているはずもない。

なんか、あんまり誇らしく思えること、ないんですよね。虚像とまでじゃないんだけど、なんか不安でたまらないというか・・・

そんなこと考えていると、どうしてこんな恐ろしい職業にうっかり就いてしまったんだろう？・・・と最近、自分の志向が不思議でしょうがなくってですね・・・笑