「アンタ、高いねー!」 ~取引単価の設定
コンサルタントにとって「高い」といわれることは恥とは思いません。むしろ「安い」と言われるほうがショックに感じるべきだと思ってます。
(もしかしたら別エントリに類似したことを書いたかもしれません)
人にできないことができる。それがコンサルタントです。
何でもできるスーパーマンってわけでもないですが、何か1つ以上、
・とにかく仕事が速い速い。
・「はぁー」と唸るくらい凄い絵心のプレゼン資料が出てくる。
・実は間違ったことを言ってても「そーなんだー」と納得してしまうほどの話術。
・なんか一緒にいるだけで安心・信頼できると思わせてしまうような人柄。
などなど、
何かしら他とは差別化されたすごい特徴があって、
それをお客様が欲しいと切望される。
それなら高いのが当たり前。
普通には調達できない人材・コンテンツなんだから。
とはいえ、闇雲に適当なインフレ価格で設定しているわけではありません。
不肖の今年の取引正価、1秒間分で、コンビニの小さいお菓子が買えたりします。
・・・自分で言ってて、正直ちと恥ずかしい。自分でも絶対値として高いとは思います。
実際に、不肖をまるまる1ヶ月フルタイムで買うお客様はめったにいらっしゃいません。
買いたいといわれる方はありがたいことにいらっしゃいますが、ある1つの理由で実現しません。
稼働率の問題です。
小生には責任を負っている自部門の管理と対顧営業・マーケティング活動、その他採用等の対外活動に、どうしても工数が必要です。
結局半分以上はそういう活動に消えていきます。ですからどっちみち半分くらいしか稼動できないので、会社としてもその分しか儲からないわけで、それを勘案して月額単価を設定しているところが多いと思います。
知る限り、戦略コンサルティングを核にするファームは特に、全体でも稼動率が(SIまでワンストップでやる大手に比べて)ビジネスモデル上低くなるため、その稼働率見込みから算出している分は相対的に高くなってしまうんです。
もっとも、その稼働率でも設定された単価に見合う成果が出せなければなりません。
ですから、高い評価を勝ち取ることができる取り柄を確立し、一生涯磨き続けます。
たった1つのスペシャリストでもいい。
柔軟な適応力を持ったユーティリティプレイヤーでもいい。
とにかく、きわめて特徴的なスキル・スタイルを確立する必要があります。
パートタイムで成果を出すのはいろいろ苦労があります。
きわめて限られた時間内に成果を(おそらくクイックに)創出していく必要があり。
一方で、フルタイムで成果を出す人たちにも異なる苦労があります。
ずっと1つのプロジェクトにいて、お客様と一体となって、誰よりもその取り柄を駆使して大きな成果を「出し続けていく」必要があり。
いずれにしても「安いね」って言われると、(もちろん言われ方にもよるわけですが)価格設定が低かったのか、と・・・売上責任持っているだけに、正直な気持ち、落胆します。
喜ばれることには違いない、うれしいといえば嬉しいのですが。
特にトラブルプロジェクトの「レスキュー」は、高いといわれても、特殊なスキルや経験が求められる上に、そのような現場に献身的な意思を持てる人材を持ち、そこへ配置するだけでも一苦労だったりします。
誰かが投げ出したプロジェクトを再建する。
誰かが途方にくれているプロジェクトで一緒に一日の大半の時間をその人(達)と共に過ごし、しかも強烈な成果を出し続ける。
士気も萎えてスーパーネガティブになっている人達にもう一度活気を与えるために、自ら率先して先頭にたって前向きな成果を出し続ける。
他のエントリにも書きましたが、ほんとはこういう依頼がなくなった方が世の中のため、だとは思うのですが、我々が助けにいかなければどうにもならない現場が実際には存在する。
そこへ、私の仲間は胸を張って、身を投じてくれています。
こういう仕事を専門性として宣言するようになって10年くらい経ち、(自分もそれなりにトシとったからかもしれませんが)やっとお客様にも周囲の関係者にも、しかとリスペクトしていただけるようになってきました。
それを達成するに多大な尽力をしてくれている、我が仲間達に、心から感謝します。
本当に、ありがとう。
お客様へ、
「高い」けど必要ならば買ってください。他に「安くて求めるものが調達できる」ならそちらをお使いください。
ただ、使っていただく以上は、価格とは別次元の意味で、「高い」リスペクトを我が仲間達のモチベーションの糧として、表していただきたいと存じます。