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米国東海岸発、とあるソフトウェア開発者のよもやま話

JavaScriptの拡張API:Google Gears対Yahoo! BrowserPlusの結末

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Google Gears

Google Gearsは、2007年に発表された、オフラインのためのブラウザ拡張です。ユーザがGearsを自分のマシンにインストールすることにより、ブラウザー上のGoogleのGmailなどのアプリケーションがオフラインでも動くようになり、話題になりました。
Google Gearsがやっていることはシンプルで、MSIE、Firefoxなどの、既存のブラウザに新しいGoogle独自のJavaScript APIを追加してしまうというものです。APIには、Database(ローカルデータベースストレージ)、LocalServer(ローカルサーバ), Timer, WorkerPool(JavaScriptコードをバックグラウンドで実行)などがありました。GmailなどのウェブアプリケーションはこれらGearsのJavaScript APIをコールすることにより、オフライン機能を実現していました。


Google Gearsの終了

ところが、先月、GoogleがGearsの開発を終了するとアナウンスしました。

GoogleによるGears終了のアナウンス:Hello HTML5

ITmediaの記事:Google、HTML5へのシフトで「Gears」終了へ

2009年の5月以来新しいリリースがでていなかったので、GoogleはGearsの開発をストップするのではないかというウワサは以前からありました。(実際、HTML5のドラフトスペックには、Googleの名前や、Gearsチームの名前があちこちに出て来ます。)どうやら、Gearsチームは、Gearsの機能を全部HTML5に入れることで、Gearsの開発を終了することにしたようです。


Yahoo! BrowserPlus

一方、Google Gears対抗として2008年に出て来たのが、Yahoo! BrowserPlusです。

Google Gears対抗? Yahoo!がBrowserPlusを開発

BrowserPlusは、オフラインなど、Gearsと同じ様な機能を持っています。新しいJavaScript APIを追加する仕組みというのは同じです。が、異なるのは、Gearsがハードコードされたすでに限られた機能のみを含んでいるのに対して、BrowserPlusは、いろんな開発者がサービス/JavaScript APIを追加できる仕組みを作ったところです。
なので、BrowserPlusのほうが、既存のブラウザにはない、より、たくさんのサービスを実装しています。

BrowserPlusはまだまだ開発が続いています。先月、BrowserPlusはオープンソースとしてのサイトを立ち上げました。

BrowserPlus.org


ということで

GearsとBrowserPlusの2つのケースを見て見ると、そのベンダーがブラウザを持っているかいないかで運命を決めてしまったようなところがあります。
Googleは、ウェブブラウザGoogle Chromeの開発元ですし、自分たちの欲しい機能を、自分たちのブラウザに入れてしまって、それをHTMLのスペックにしてしまうというのは当然のことだと思います。なので、Gearsを終了し、今後はGoogle Chromeでブラウザの機能を更新していこうということなのでしょう。
一方、Yahoo!は、ウェブブラウザを持っていません。なので、BrowserPlusを通して、ブラウザを拡張していこうというのは、これも自然のことだと思います。Gearsが終了することとなり、BrowserPlusはGearsという対抗勢力をなくしましたが、常に最新のOSとブラウザとでは機能の差があり、この機能差を解決したいという要求は常にあるはずで、これは今後変わらないでしょう。BrowserPlusが次のHTML標準のJavaScript APIの実験場、インキュベーターとして役割を果たすことができるなら、よりBrowserPlusの需要や可能性が高まってくるかもしれません。Yahoo!がBrowserPlus.orgを立ち上げた次にどうするのか今後に注目したいと思います。

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