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顧客サービスとITのおいしい関係を考える

会社からサーバーがなくなる日

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私は、サーバーと言えばUnixかNetWareだった頃から、IT業界で働いています。

一般的な企業がサーバーを買う目的は、NetWareの頃から変わっていないように思います。当時、NetWareは、以下の目的で企業に導入されていました。

・ファイルサーバー

複数のパソコンでファイルを共有したいという用途は、今でもサーバー導入の主たる目的です。

・プリントサーバー

複数のパソコンでプリンターを共有するための機能です。コピー複合機やプリンターにプリントサーバー機能が内蔵されたネットワークプリンターになって、専用のサーバーを別に用意することはなくなりました。

・CD-ROMサーバー

CD-ROMドライブが1台数万円で、すべてのパソコンに内蔵させるわけにいかなかった頃は、サーバーのCD-ROMドライブをネットワークで共有できることは、便利な機能でした。CD-ROMドライブが安価になって普及したため、死語になりました。

・ディレクトリサーバー

ネットワーク内のユーザIDとアクセス権を一括して管理する機能です。ノベルにはNDS(Novell Directory Services)というディレクトリサービスのプロダクトがありました。今はWindowsのActive Directoryが多いと思います。中小企業ではサーバー毎にユーザ管理をしてもそれほど手間が変わらないため、必要ない企業もあります。

・Webサーバー/DNSサーバー

インターネット普及当初は、社内にWebサーバーとDNSサーバーを置くのが普通でした。今は、DNSサーバー機能は、ISPから提供されるのが普通です。Webサーバーも社外のホスティングサービスを利用することが多いでしょう。

・メールサーバー(POP/SMTPサーバー)

今やビジネスになくてはならない電子メールですが、スパムやウィルスなどメールのセキュリティー対策は90年代とは比べものにならないほど、複雑・高度化しています。メールサーバーもASPを利用した方が安全と言えるでしょう。

・アプリケーションサーバー

例えばサイボウズなどのアプリケーションを動かすためのサーバーです。ノベルにはGroupWiseというグループウェア製品がありました。現在、この用途はASP化が進んでいます。サイボウズは以前からASPで利用できます。会計アプリケーションもメーカーがASPで提供する方向です。

こうやって見てみると、一般的な中小企業にとって、自社でサーバーを買う必要がなくなってきています。Webサーバーやメールサーバーは、社外のサービスを使った方が、運用管理の手間もかからず、セキュリティー上も安全なくらいです。

企業内サーバーで残された用途が、ファイルサーバーです。この最後の砦とも言える分野にも、変化が起きつつあります。

先日ご紹介したElipサービスには、USBハードディスクをつないで共有する機能があります。共有ディスクの内容は自動的データセンターにバックアップされます。Windwosサーバーを使うよりも遙かに安価で手間がかかりません。

個人向けにインターネットでデジカメ写真を共有するサービスは、以前からあります。グーグルやマイクロソフトは、業務で使えるファイル共有サービスをインターネット上で提供しています。これらは無料または安価です。

今後は、社内ファイルも含めてデータはすべてインターネットの向こう側に置いて、パソコン、携帯電話、Windows Mobile、iPhoneなどの様々なデバイスで利用する形態が普通になると予想されます。

ただし、すべてネット側の向こう側に置いてしますと、万一、ネットワークが切断されて外部とつながらなくなってしまった場合、即、業務不能になってしまいます。ネットワークの危機管理については、別の機会に書いてみたいと思います。

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