ソーシャルウェブ型アーキテクチャーに変えないと国も企業も滅ぶ!?
今回はインタビューを編集してお届け致します。
質問
・どういう主張をされていますか?
・現在の政府、および東京電力の対応のどこが問題でしょうか?
・では代わりにどのような対応をすべきしょうか?
・ご提案の「ソーシャルウェブ型アーキテクチャー」とはどのようなものでしょうか?
・なぜ、そのようなソーシャルウェブ型アーキテクチャーはうまく機能するのでしょうか?
・今後、政府や企業はこのソーシャルウェブ型アーキテクチャーをどう取り入れることができるでしょうか?
(質問)どういう主張をされていますか?
現在の福島原発の政府および東京電力の対応をみている限り、うまく機能していないようです。原発対応のような緊急時に、政府や東京電力のような旧来型の中央集権型組織ではうまく対応できないことが国民にもはっきりわかりました。
そもそも、中央集権型組織は、働く人が決まった定型的な仕事を邪魔されずに安定的に働けることを目指した組織形態であって、緊急時向きではそもそもないのです。
(質問)現在の政府、および東京電力の対応のどこが問題でしょうか?
情報フローとして、東電→保安院→政府となっていますが、相対的に、専門性が高いのは東電で、専門性が低いのが政府となっています(本当はもっと専門性が高いのはメーカーです)。情報が下から上に、情報処理能力の低いところにあがっていく、この構造では、政府は東電の言うことを聞かざるをえない形になります。
組織階層に上がるために情報ロスが多くなり、最終段階ではほとんど意味のない情報になってしまいます。保安院のチェックは有効に機能しているのかという問題もあります。これで果たして、政府が正しい意思決定ができるかが疑問です。情報効率的にはなっていないからです。
(質問)では代わりにどのような対応をすべきしょうか?
現在、ソーシャルメディアでは原発の問題把握、今後の対応に関しても専門性の高い有益な議論が様々に展開されています。このような有益な議論を政府も東京電力ももっと活かすべきです。
(質問)ご提案されているソーシャルウェブ型アーキテクチャーとはどのようなものでしょう?
ハブ&スポークか、マルチハブ&スポーク型になります。ネットでは、オピニオンリーダーを核にして様々なコミュニティが形成されています。例えば大前研一さんや後藤政志氏(東芝・元原子炉格納容器設計者)さんです。このような方がハブになります。
(質問)なぜ、そのようなソーシャルウェブ型アーキテクチャーはうまく機能するのでしょうか?
第一に、ハブとなる人を中心に多くの人の情報や知見が集まることが挙げられます。そして、コミュニティではオープンにフラットな形で、対話(ダイアログ)がおこなわれることで、誤った認識、情報が淘汰され、どんどん情報の質が高まっていきます。この点が、中央集権型の階層組織ではないところです。
次の段階として、ハブ同士がリンクされると、さらに次の系を形成する共進化が起こるケースもあります。
(質問)今後、政府や企業はこのソーシャルウェブ型アーキテクチャーをどう取り入れることができるでしょうか?
そもそも民主主義という多数決によって社会のものごとを決めるというシステムは絶対的な優位性があるものではありません。独裁制に比べると、民主主義は相対的に優位性があったという、あくまで相対的優位性です。ですから、もっとうまく機能、メカニズムが生まれたらそれを取り入れるべきだと言えます。
ノーベル経済学賞を受賞したケネス・アローは、「組織とは市場メカニズムがうまく働かないような状況の下で集団的行動の利点を非市場的方法によって実現するための手段である」という主張をしてます。
ソーシャルウェブはこれまで市場メカニズムになじまなかった分野に市場メカニズムを導入する試みと位置づけることができでしょう。
企業に関してはこの問題は切実です。ソーシャルメディアを使って何かやろうと試みる会社は多いですがTwitterでは全く収益化できていませんね。本当はものすごいポテンシャルがあるにも関わらず。
その原因の一つに、自分の会社の組織構造、情報コミュニケーションに問題があるということに関して多くの企業がまだ無知です。この認識がないとFacebookでも二の舞になるでしょう。この部分を認識して、日本企業は組織アーキテクチャーとソーシャルメディア戦略を連携した統合的な戦略を目指すべきです。
本日はお忙しいところどうもありがとうございまいした。