なぜ、シンガポールに日本のベンチャーが惹かれるのか?
最近、私の周りのベンチャー経営者やスタートアップ関係者に会うとシンガポール進出の話題で持ち切りです。昨年の夏ぐらいから、シンガポールに移住するIT経営者が増えてきて、今年になってその動きが加速している気がします。
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シンガポールの何が若手経営者の魅力になっているのでしょうか?
まず、考えられるのが日本との時差。
シンガポールと東京の時差は一時間でほとんど東京でのビジネスアワーと変わらないので現地とのリアルタイムコミュニケーションが可能です。また、移動が比較的楽なのも経営者の支持を得ているようです。羽田発の深夜便を使えば、翌朝からシンガポールでのビジネスが可能ですから、USなどに比べて効率的に時間が使えます。
東南アジアのハブになっていることも魅力の一つです。シンガポールから、ベトナム、タイ、そして今注目されているミャンマーにも2時間あれば、移動できます。アジア各国の最新情報が集まり、自社の情報も英語で発信でき、世界進出と言う面でもシンガポールに拠点を置く意味があるということです。
また、シンガポール政府の努力が日本人を惹き付けている気がします。90年代には300万人程度の人口だったシンガポールはその後、優秀な外国人を選び、永住権を与え、この20年近くで200万人程の移民を受け入れてきました。世界中から集まった企業やヒトのパワーで経済成長を持続し、今やシンガポールの国民一入当たりの名目GDPはなんと約5万ドルに達しています。
マネーや優秀な人材が集まるシンガポールに一度行くとその魅力に惹き付けられる経営者も多いことでしょう。いや、この成長を促進させる優秀なヒトの集積こそが、若手ベンチャー経営者にとって、シンガポールの最大の魅力かもしれません。
日本のような人口減少社会、政府の規制が激しい停滞国家で働くよりも、オープンで成長著しいシンガポールで世界中の優秀な経営者や開発者と切瑳琢磨することを選ぶのも必然です。人間の成長願望が、シンガポールにヒトが集まる最大の理由かもしれません。歴史的に見ても、繁栄している地域や国家は世界中から優秀な人材を集めています。ヒトがヒトを呼ぶポジティブスパイラルが、今のシンガポールにヒトを集めているのでしょう。シンガポールはある意味、アメリカのシリコンバレーのような優秀な人材の集積地になっているのかもしれません。
レベルの高い様々な国の人々との交流は、今の日本では難しいものに感じられます。
スピード感のなさと多くの規制が、優秀な外国人と日本人の日本離れを促している気がします。そして、優秀なヒトの受け皿の一つがアジアの成長国=シンガポールになっている気がします。(この20年の両国政府の努力の差を感じます。)
やがて、シンガポールに集まった日本人経営者やスタートアップ関係者が、世界に通用する新しいサービスをシンガポールから生み出してくれることでしょう。