日本のファンドレイジング・サイト「CAMPFIRE」
今回は海外ではなく、日本のファンドレイジング・サイト「CAMPFIRE」を紹介します。CAMPFIREは、前回紹介したキックスターターと同様にクリエイターの「やりたいこと」を実現するために、その内容に共感する支援者(彼らはパトロンと言っています)から、実現のために必要な費用を少額ずつ支援してもらうWebサイト上のプラットフォーム(彼らは「マイクロ・パトロン・プラットフォーム」という言い方をしています)です。
こちらも、資金のリターンは返済してもらうことでも分配金をもらうことでもなく、クリエイターから「もの・サービス」でもらいます。カテゴリとしては、事業・プロジェクトなどの資金を調達する「資金調達型」、一般の企業が運営する「営利型」、ものやサービスでリターンをもらう「もの・サービス型」になります。運営はペーパーボーイの創業者である家入一真氏と、農力村の石田光平氏が代表を勤める株式会社ハイパーインターネッツです。
仕組みは「キックスターター」とほぼ同じ
仕組みはキックスターターとほぼ同じで、設定した7日〜90日のパトロン募集期間内に、目標金額の100%以上の支援を集めた場合にプロジェクト成立となり、クリエイターに集まった金額が支払われます。期間内に目標金額に達しなかった場合は、無条件にキャンセルとなることもキックスターターと同じです。この辺は、CAMPFIREに限らずほぼすべての「もの・サービス」でリターンをもらうタイプのファンドレイジング・サイトは、キックスターターを参考にしていると思われるので仕方のないところでしょうか。
違いは「社会貢献」のカテゴリがあること
キックスターターとの大きな違いは、プロジェクトのカテゴリに「アート」「音楽」などのほかに「社会貢献」があることでしょうか。本日(11/26)現在で、以下のようなプロジェクトを含む9件が登録されています。東日本大震災の被災者の方を支援する内容が多いです。
- 雄勝神輿 —被災した神輿を完全復元し、石巻で担ぎます!−
- 飯舘村の卒業生とその家族… ばらばらになってしまった村民… みーんなで最高の卒業式を!
- 避難所に笑顔を!the Hammock HOOK PROJECT @南三陸
例えば、「雄勝神輿 —被災した神輿を完全復元し、石巻で担ぎます!−」というプロジェクトの場合、支援した金額によって、「プロジェクト報告」「お礼Eメール」「雄勝神輿を撮影して制作したpost card」「神輿の端材で作ったアクセサリー」「Tシャツ」「神輿にパトロンの名前入りシールを貼る」などのリターンがもらえます。
「もの・サービス」でのリターンは日本に根付くのか
カテゴリに「社会貢献」があるCAMPFIREですが、その登録されているプロジェクトの内容には少し温度差があり、まだまだ発展途上のサービスだと思います。具体的には、「ばらばらになってしまった被災地の村民のために合同卒園卒業式をやる」というプロジェクトには私は賛同できますが、「避難所にハンモックを設置する」というプロジェクトには正直あまり賛同できません(善意でやられている方々には申し訳ありませんが)。元々、賛同するプロジェクトにのみ支援するという趣旨なので、それでいいのかもしれませんが……。
また、「もの・サービス」のリターンも提供する側によって内容はバラバラで、その客観的な価値には大きな差があります。
そして、登録されているプロジェクトの数は、本日現在で「アート」「音楽」「演劇・ダンス」「プロダクト」「テクノロジー」「ジャーナリズム」「写真」「映画」「本・漫画」「アニメ」「パフォーマンス」「お笑い・ネタ」「社会貢献」のすべてのカテゴリをあわせても、わずか50数件しかありません。本家のキックスターターが、先日(10/11)、2009年4月のスタート以来、プロジェクトへの投資資金が総額1億ドルを突破し、支援者(プロジェクトへ資金を提供する人)の数も百万人を超えたと発表したのとは大きな違いです。
「もの・サービス」でリターンをもらうという仕組みは日本の文化には根付かないのでしょうか?この辺は、次回以降でじっくり考えてみたいと思います。