アーティストの活動などを少額から支援できる「キックスターター」
今回は海外のファンドレイジング・サイトのご紹介の続き、アーティストなどのクリエーターの活動を少額から支援できる「キックスターター」のお話しをします。キックスターターは2005年10月にスタートしたサイトで、創業者はペリー・チェン、Kickstarter, Inc.が運営しています。
デザイナー、映画製作者、ジャーナリスト、発明家、アーティストなどの様々なクリエーターが金銭的な支援を求めるWebサイト上のプラットフォームです。こちらも有名なサイトで、米国以外にも同様のサービスが波及しています。カテゴリとしては、事業・プロジェクトなどの資金を調達する「資金調達型」、一般の企業が運営する「営利型」、ものやサービスでリターンをもらう「もの・サービス型」になります。社会貢献とは少し違うかもしれませんが、ファンドレイジング・サイトではあります。
クリエイターが自分のやりたいことの資金援助を募る
仕組みとしては、支援を求めるクリエイターが融資目標額と90日以内の締め切り日を設定し、自分のやりたいことをプロジェクト登録します。支援者はWeb上で支援したいクリエイターのプロジェクトを選んで少額の資金援助をします。支援を募るのは無料ですが、現状では誰かの推薦が必要で、米国に基盤を置いて活動をしていることなどの制約があるようです。
登録されているプロジェクトには以下のようなものがあります。
- ラジカセを利用した対話型のパブリックアートの制作
- 完全菜食主義の食事や食べ物についてのドキュメンタリー映画の制作
- インディーズロックの新しいアルバムのレコーディング費用
- ジャズギャラリーで無料でアーティストに演奏スペースを提供
- ネパールのチベット難民が撮影した写真集の制作・販売
目標額が超過しても締切日まで支援を受け付け、成立したプロジェクトの集まった額の5%をキックスターターは手数料として徴収します。逆に期限までに目標額を集められなかったプロジェクトは例外なくキャンセルされます。
資金のリターンは「もの・サービス」でもらう
面白いのは支援した資金のリターンは返済してもらうことでも分配金をもらうことでもなく、クリエイターから「もの・サービス」でもらうことです。
例えば、新しいアルバムの制作費として$600の資金を希望しているワールドミュージックのアーティスト(男性)の場合、支援した金額により以下のようなものがもらえます。
<$7以上の支援>
レコーディングしたCDを1枚
<$13以上の支援>
レコーディングしたCDを3枚
<$60以上の支援>
CD1枚と1時間以上のヨガのプライベートレッスン
<$90以上の支援>
CD2枚と2人分の美味しい食事(アーティストの手料理)
<$120以上の支援>
CD3枚と45分×3回のドラムのレッスン
ヨガのレッスンや手料理など、音楽とは関係ないものを提供するのが面白いですね。まあ、自分のキャラクターで出来ることをするということなのだと思いますが。個人的には、人によりますが男性の手料理ってちょっと微妙なかんじではあります。
フランスや日本など全世界に仕組みが広がっている
キックスターターのような、クリエイターを少額で支援して「もの・サービス」でリターンを得るという仕組みは、米国だけではなくフランスの「キスキスバンクバンク」、日本の「CAMPFIRE」「READYFOR?」など全世界に広がりつつあります。これもインターネットの仕組みをうまく利用して、支援を受けたいクリエイターと支援者をマッチングするよく考えられた仕組みだと思います。