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「ANA、来春から全席でiPhone/iPodを接続できるサービス」祭りで踊らされて知る、ネット時代の「プレスリリース」のあるべき姿

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11月12日の朝、Twitterで流れてきたANA、来春から全席でiPhone/iPodを接続できるサービス」by iPhone.Walker というニュースに驚きました。「これはもう、春の旅行でANAを選んだらもう、iPhoneで退屈しないなぁ、『機上なう』でTwitterのタイムラインがあふれるのかな?」などと想像しましたよもう。

しかし、情報ソースをたどるとそれはぬか喜びだとだんだん、分かりました。PC Online ANA、来春から全席でiPodを接続できるサービスを開始

全日本空輸は2009年11月10日、2010年2月から成田-ニューヨーク線に就航するボーイング777-300ER機を皮切りに導入する新たなプロダクト・サービスブランド「Inspiration of Japan」を発表した。新シートや、タッチパネル搭載の個人用TVディスプレイが導入されるほか、機内でのiPod接続サービスが提供される。

最初に見た「全席」がANAが運行するすべての便のすべての座席ではないようです。しかも、エコノミーでも電源というのはJALでは既に一部ボーイング777-300ERの便で始まっているサービスでした。

さて、ANAでじゃあ、いつ私はこのiPhoneをつなげられるサービスを受けられるのか?と思ってこのエントリーを書き始めました。まず、情報の元になったプレスリリースは 2010年、新しいANAがスタート というの以下のものでした。
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2010年、新しいANAがスタート
~ 日本発のひらめきを世界に、新ブランド“Inspiration of Japan” ~

 ANAでは、2010年2月より成田-ニューヨーク線に就航の新造機 ボーイング777-300ER機を皮切りに、新たなプロダクト・サービスブランド“Inspiration of Japan”の展開をスタートします。長距離欧米路線から始め、順次ANAのプロダクト・サービスを新ブランドコンセプトに基づき全面的にリニューアルします。

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横文字のブランドに何の意味があるの???と思いつつ、リリースを確認すると、中にありました。iPodの文字が。PC用のAC電源やUSB端子もあって便利そうです。

これを受けたニュースを更に探して、なんとなく分かっていた悪い予感をasahi.comで確認しました。 タッチパネルで機内食・ゆとりの座席 全日空、国際線で 、つまり、これは国内線ではサービス提供される予定は無いようなのです。
プレスリリースをまとめた責任者の方にとって、これは国際線向けのサービスブランドというのは自明のことだったのでしょう。また、記者会見もやって朝日新聞の記者の方は正しく理解して記事も書かれたようです。 しかし、リリース文やサービスサイトを見て、だけで記事を書く記者、さらにはそれを見て、さらにエントリーを書くブロガーやツイッターユーザーも多数居ます。
そういう人々のために、ニュースのポイントはニュースリリース内でしっかりおさえて、ぬか喜びをさせないように注意していただきたいなと思いました。
Twitterの11/12までのANA とiPhoneを言及したエントリー
では、ANAへの期待であふれています。
従来のプレスリリースが、プロフェッショナル向けで情報を咀嚼し、しっかり伝えるべきポイントを加工してくれていたわけですが、今のネット時代、プレスリリースに書かれたことがそのまま一般に伝わったり、更には、読み手に都合がいいように誤解されて伝わる可能性も増えています。News2uの神原さんがよくおっしゃっている、プレスリリースからニュースリリースへの変化という言葉の意義が広く理解され、 美辞麗句にあふれる一方で肝心なニュースのポイントが欠けている、そんなプレスリリースは減って欲しい、そう落胆のあまりに強く思った次第です。

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