「どうせ買うなら安い本。」ブックオフの価値と電子出版への期待
「どうせ買うなら安い本。」と特筆大書された、ブックオフの街頭広告への反発をマガジンハウスの雑誌の発行人の方が、書かれていました。
でも、少なくとも、出版流通の範疇にいるはずの会社が、こういうような、扱っている商品をおとしめるような言い方をしてはいけないんじゃないかと思います。
ブックオフが、新刊書籍、特にコミックの売れ行きを落としているのではないか?という指摘は日経トレンディなどで広くされており、出版社側の方がいい印象をもたれていないのは分かります。まして今回の広告は、商品の価値を貶めているといえば、その通りでしょう。
「どうせ買うなら~」とかいう広告は、これまで「いいものを」とか「本物を」という、安物買いの銭失いを警告するものが多かったように思います。そこを、「安い本。」という、逆をついてきたわけで、精魂込めた商品がたたき売りされていると嘆くのも分かる気がします。
しかし、ブックオフは、多くの書籍愛好家にとって、「本棚の空きスペース」という貴重な資源を与えてくれるありがたい存在であることを忘れないでいて欲しいと私は願います。我が家で本棚に置ける本は限られており、埋まってしまったらもう、要らない本を処分するしか、新しい本を買う余地が無いのです。かつて、書籍置き場専用に増築してとか、床を補強してとかいうことが語られてきましたが、都市部においてはちょっとやそっとでは解決できない難しい問題になっています。
かといって、本を捨てるのは書籍愛好家にとって耐えられない苦しみです。
そこをたとえ安かろうと買い取るか、無料で引き取ってくれるブックオフはとてもありがたい存在です。出版業界の方もいろいろで、確かに直接的な打撃を受けられている会社もあると思います。しかし、ブックオフが出版業界で果たしている功績も理解していただきたいとわけです。
場所をとらず十分読みやすいという別の選択肢への期待
さて、その先ですが、期待するのはやはり電子出版です。1994年ごろからNIFTY-Serveのシェアテキストフォーラムという電子出版に向けた集まりに参加して、書籍の電子化への期待を持ち続けています。イースト社長の下川さんをはじめ熱心に息長く、事業として取り組まれている方々を拝見すると、日本の電子出版について絶望するのはまだ早いと思います。
アマゾン・キンドル(Amazon Kindle)とかに水をあけられている感がある日本の電子出版ですが、まだまだ逆転、進化の道は途絶えていないのではないでしょうか?
解決策の一つは、携帯などのネット通信機器の進化です。既にiPhoneで青空文庫が読めたりするわけですが、もう少し大きくなったタブレットが出たら、美しいタイポグラフィーで日本語の書籍をiTunesからダウンロードできるとかいう日が直ぐくるかもしれないと期待しています。Kindle実物を使われての松下さんご感想
このデバイスをみて、「あぁ、このフォントじゃ読みたくないなぁ」とiPhoneの画面を視て思う。いくら省電力が売りでもこの表示の品質だったらちょっと厭かも。英文フォントですら、ガビガビしてる。解像度が低いんですかね。
という感想を拝見して、日本で受けそうな品質の電子ブック機器はまだ誕生していなし、まだこれから生まれる可能性があるのだなと確信を持ちました。
日本で受けそうな電子出版はAppleが最初に出すと予想しているのですが、ただし、アメリカのクレジットカードを持つ人のみ とかの縛りがありそうな予感がしています。今から、アメリカの銀行口座とクレジットカードを作る方策とかに思いをめぐらせたりもしています。こういう心配が杞憂に終わり、何の苦労も無く日本で電子ブックリーダーが手軽に使えるよう一日もなることを願っています。
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