【続報2】2010年IDC予測 ~ クラウドコンピューティングにおける覇権争い
【速報】「2010年IT業界の10大予測」 by 米国IDC の続編その2です。ちなみにその1は こちら。
この調査のうち,モバイルとならんで最も戦略的な覇権争いになるのがクラウド・コンピューティングの分野だ。
Cloud computing will expand and mature as we see a strategic battle for cloud platform leadership, new public cloud hot spots, private cloud offerings, cloud appliances, and offerings that bridge public and private clouds.
クラウド・コンピューティングは拡大し,クラウド・プラットフォーム(パブ リック・クラウド環境における新たなアプリケーション群,プライベート(企業内)クラウド環境,クラウド専用端末機,ハイブリット・クラウド(パブリック と企業内クラウドのブリッジ)をめぐる戦略的覇権争いが起こるだろう。
ここから興味深い点をいくつかピックアップして紹介したい。
■クラウド・ソリューションの覇権争いがヒートアップするだろう
クラウド・コンピューティングにおけるサービスは,SaaS(Software as a Service), PaaS(Platform as a Service), IaaS(Infrastructure of a Survice) の3レイヤーにわけて考えることができる。図にすると下図(調査報告書とは別に筆者作成)のようになる。
この調査報告書では,特にこのうち PaaS の部分(Google AppEngine / Microsoft Azure / Salesforce Force.com が相当)が最も重要なレイヤーで,この覇者がPCにおけるWindowsに匹敵する影響力を持つことができるとし,PaaS覇権争いが激化するであろうことが予想されている。
2010年において,Amazonが企業買収等でPaaSレイヤーに進出する可能性や,既存プレイヤー以外にIBM,Oracleが新たに参入する可能性を示唆している。
■パブリック・クラウドにおける新しいホット・アプリケーションが生まれるだろう
ホスティングサービスやコラボレーションサービス以外に新しいアプリケーションが出てくるだろう。特にデータ/コンテンツまわりのソリューションやビジネス・アプリケーション,生産性を向上させるツールなど。MicrosoftやIBMが積極的に参入してくることが考えられる。
■2010年はプライベート・クラウドが発展するだろう
企業はセキュリティ,可用性,パフォーマンスを考慮して企業内クラウドを構築しはじめるだろう。おそらくすべてのキー・プレイヤーはプライベート・クラウド向けのサービスを発表するだろう。またDell/IBM/HP/Sun/富士通/日立 - インテルとAMDも - クラウド専用端末を製品ラインに加えるだろう。
■ハイブリット・クラウドのためのマネジメントツールがホットになるだろう
パブリック・クラウドとプライベート・クラウドを組み合わせたハイブリッド型(例えば汎用的なサービスツールはパブリック,ミッションクリティカルな業務はプライベート等)を実現するためのマネジメントツールが注目をあびるだろう。キー・プレイヤーは,HP/IBM/CA/BMC/Novell/Symantec/VMware等だ。
■クラウドサービス周辺のアクセサリーソリューション市場ができるだろう
クラウドサービスを,より早く,安全に,信頼性高く,使いやすくするための周辺ソリューションが多くのベンダーによって開発されはじめるだろう。それらはアプライアンス・サーバーの形をとったり,クラウドサービスのオプションとなったりするだろう。
■クラウドAPIがIT業界再編において戦略的な役割を果たすだろう
オープンAPIがキーとなり,最も巨大なエコシステムをつくるAPIを持つプレイヤーがシェアを増大させる。そのためにそれぞれのレイヤーのキープレイヤーが一斉に競争や提携をはじめる年になるだろう。
当記事においては調査報告を筆者が要約・意訳している。より正確に確認したい方は こちら (IDC Top10 Predictions 2010) からPDFでダウンロードできるので,ぜひ直接参照してほしい。
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