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セブンプレミアム商品開発コミュニティ。1ヶ月弱で会員1万人突破!

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ループス社でシステム開発運用を担当させていただいているセブン&アイ・ホールディングスの 「プレミアムライフ向上委員会」 が,10月16日のグランドオープンから順調に会員(委員会メンバー)数を伸ばし,1ヶ月たらずで1万人を突破した。大きなプロモーションなしでのこの反響に,筆者も新鮮な驚きを感じている。

いただいたコメントやご意見を読むと,日ごろセブンプレミアムの商品を購入している生活者が,自ら商品開発に参加して,セブンプレミアムをより良いものにしたいという思いが伝わってくる。

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【こちらはちょうど10000人となった10月14日のプレミアムライフ向上委員会画面】

商品レビューとコミュニティが先行スタートしていたが,11月2日には第一弾の共同開発プロジェクト「おいしい冷凍コロッケを作ろう!」が,さらに11月13日には第二弾「より良いボディソープを作ろう!」が開始され,委員会メンバーから貴重な意見が多数寄せられている。

手前味噌な話で恐縮だが,この手のソーシャルウェブ構築は言うは易く行なうは難しの典型で,成功裏に立ち上げるためには多様な経験とノウハウが必要だ。

例えば米国最大手の小売業者ウォルマート社は,オンライン・コミュニティを立ち上げたにもかかわらず集客にいたらず,わずか10週間で閉鎖においこまれている。

コミュニティを企業が活用する方法論&べし・べからず (Web担当Forum, 2009/1/23)

この記事はフォレスターリサーチ社のオウヤン氏によるコミュニティ活用の方法論についてのインタビューだが,会話中にウォルマート社の失敗事例を紹介しているので抜粋して転載したい。

●林 コミュニティを活用する場合、自社で立ち上げるべきか、既存のコミュニティを活用すべきか迷う企業も多いと思います。選択のポイントは何ですか?

●オウヤン 自社で立ち上げるのも既存コミュニティを利用するのも、どちらも有効な手法です。また、長期的には両方を活用するという判断もありえます。どの方法を選択するかは、ターゲットをしっかり調査して、ニーズを把握してから決めるべきことです。

ウォルマートの失敗例を聞いたことはありますか? ご存知のように、ウォルマートは米国最大の小売業者です。そのウォルマートが独自のオンラインコミュニティをつくったのですが、わずか10週間で閉鎖してしまいました。

●林 たった10週間で!? なぜでしょう?

●オウヤン 理由はシンプルです。人がまったく来なかったから。それだけです。「釣りは魚がいる場所で行うべし」ということわざがありますが、コミュニティを展開する際にも、まずはターゲットユーザーを研究し、彼らがオンライン上のどこに、どんな理由でいるのかを把握しなければならないのです。ターゲットとなるユーザーがFacebookにいるのならFacebookを活用すればいいし、ほかのSNSにいるのならば、そこにコミュニティを立ち上げればいい。ターゲットを理解せずにいたずらにコミュニティをつくっても、人は来てくれないのです。

●林 費用の観点から見るとどうでしょうか? 自社で独自にコミュニティを立ち上げる場合は、構築費用がかかるわけですが。

●オウヤン コミュニティ運営の主要コストは人件費であるという事実を忘れてはいけません。コミュニティ運営コストの平均的な内訳は、技術やプログラム開発の比率が約20パーセントで、残りの80パーセントは運営に関わるさまざまなスタッフの人件費です。プログラムやソフトウェアにかかるコストは全体のごく一部にすぎないのです。したがって、初期の構築費用で戦略を判断するのは得策だとは言えません。

ちなみにコミュニティ構築におけるノウハウについては,当社ホワイトペーパの形でまとめてあるので,ご興味ある方は下記チャートを参照してほしい。


なお,このサイトを共同で企画開発した株式会社ワールドカフェの笠原氏が,サイト構築の着眼点からペルソナ・インサイト分析までサイト開発現場の裏話をコラム連載している。これからコミュニティサイト構築を検討されている企業にとっては大変参考になるはずだ。

あなたも「セブンプレミアム」の商品開発プロジェクトに参加しませんか? (2009/11/16)
「セブンプレミアム」が顧客の声を商品開発に活用するために考えたこと (2009/11/09)
早くも急成長している顧客参加型商品開発コミュニティ「プレミアムライフ向上委員会」 (2009/11/02)
「セブンプレミアム」の事例~“普通の人”のマスマーケティングにペルソナは必要か? (2009/10/19)

顧客の声をマーケティングに活用するためのサイトは,P&G,DELL,Starbucks など海外の企業では本格化しているが,日本企業の成功事例は多くない。

セブン&アイ・ホールディングスという日本を代表する企業が,また急成長著しいセブンプレミアムというPBブランドが,顧客の声に真摯に耳を傾け,商品開発に取り入れはじめたことの意義はとても大きいのではないだろうか。


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