Twitter,企業の成功事例を探る ~ 交流4割,宣伝3割。絶妙なミックス @DellOutlet
Twitterのビジネス活用で真っ先に考えられるのは,企業と顧客との絆を深めるための「顧客コミュニケーション・プラットフォーム」として活用だ。
Twitterの公式ビジネスガイドである「twitter101」(未和訳)においても,企業と顧客との交流活用に力点が置かれている。実際の活用事例も多く,大企業から個人にいたるまで,全世界で多様なアプローチが試され続けている。
「顧客コミュニケーション・プラットフォーム」としてのTwitter活用方法を分類すると,コンタクトの方法によって次のような3つのタイプがある。
a) オープン交流型 オープンメッセージによる顧客対話を行なう
b) マルチ交流型 フォローしあうことでオープン/クローズを組み合わせた対話を行なう
c) 積極コンタクト型 自ら自社関連のTweetをサーチし,能動的にコンタクトする
このブログでは,今週3回シリーズで,「twitter101」に記載されている成功事例に独自調査の客観データを付与しながら,その特徴を俯瞰してゆきたい。
■ オープン交流型
顧客と対話する際にオープンメッセージ機能(@で相手先を指定するが,Tweetは全フォロワーに公開される)を用いるタイプ。フォローしたユーザーに対してフォロー返しはしない。典型的な成功事例としては,@DellOutletがつとに有名だ。
【アカウント詳細データ】
アカウント開設日2007/5/1 Following数24 Follower数1,166,892 日平均Follower増加数1,351
2009年8月Tweet数73件 平均Tweet長73文字 日平均Tweet数2.35
内)対話率44% リンク率36% 一斉質問率4% RT使用率1% #使用率3%
ここで,
対話率 個別ユーザーとオープンに対話しているTweetの比率
リンク率 リンクを含むTweetの比率。企業サービスの広告宣伝に多い
一斉質問率 ユーザーに一斉に質問しているTweetの比率。マーケリサーチに多い
RT使用率 他ユーザーTweetをReTweetしているTweetの比率
#使用率 ハッシュタグ(#)を使用しているTweetの比率
Dellは80を超えるアカウントを運用する最も先進的なTwitter活用企業だ。
中でも@DellOutletは100万人を超えるフォロワーを持つ商用Twitterで最大級アカウントだ。アウトレット商品情報を配信し,開設来2年間で300万ドル以上を売り上げたと報道されている。
当初は情報配信型としてスタートしたが,顧客が対話を熱望していることに気付き,方針を変更。現在ではTweetの44%(2009年8月実績より)はオープン型の個別顧客対話となっており,実際のアウトレット情報は29%(21件)に過ぎない。
ダイレクトメッセージによる交流はしていないが,必要な場合の受け口としてDellOutlet担当社員@StefanieatDellの個人アカウントが紹介されている。こちらは相互フォローによりダイレクトメッセージを含むマルチ交流型となっている。
なお,Twitter専用クライアントは,@DellOutlet関係チームはStefanieさんを含めCoTweetで統一しているようだ。CoTweetは,顧客とのリレーションに機軸をおくサービス思想に特色があり,マルチチームやマルチアカウントに対応するなど,本格的な企業運用に最適なTwitterクライアントだ。
ちなみに,Dellでは社員にも積極的にTwitterで顧客と交流することを推進しており,100人を超える社員がtwitterアカウントを公開している。参考まで,先日Amazonに買収されて話題になった「感動のEコマースサイト」 Zapposも同様のアプローチをとっており,すでに500人に近い社員がTwitterに登録し,社員や顧客と自由にコミュニケーションしている。企業と個人の垣根が低くなり始めた象徴ともいうべき現象だ。
Zappos Twitter統合サイト http://twitter.zappos.com/
(明日に続く)
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