学生時代の仲間が,僕に教えてくれた大切なこと
僕は技術系出身だが,昔から広告やマーケティングが大好きだ。
さかのぼると小学生。そのころからCMを作りたいと思っていた。
商業目的を豊かな表現で包むショートストーリーを創りたい,そんなあこがれを抱いていた。
ろくに授業に出ず遊びほうけていた大学時代の成績があまりに悪かったために,大手広告代理店など夢の先で,突然に年間2000人の大量採用をはじめた日本IBMにすべり込ませていただいた。(本当にすばらしい会社でした!)
その後,29才で独立し,今にいたるわけだが,IT系,それも企業向け商売を一貫して歩んできた。
そんな中,たまたま2年前,とある勉強会でワールドカフェの笠原造(かさはらつくる)氏と再会した。
彼はもともとOne'sというインテリアショップの創業者で,7年で,全国80店舗,売上100億円まで成長させた,知る人ぞ知る非常に有能な経営者である。と同時に,あらゆるマーケット手法を発注主として体得してきたスーパーマーケッターで,自らマーケティング・オタクと公言するほど造詣が深い。
再会という言葉を使ったのは,実は彼が中学高校の同級生だからだ。しかも高校の卒業式以来26年ぶり。さらにいろいろ聞いてみると,大学卒業後に大企業に入社,若くして独立してベンチャーを創業,訳あってその株式を売却し,さらに第二創業をするという,人生の共通点の多さに本当に驚かされた。主張の強いキャラから,譲れない美学,果てはお酒の飲み方まで,似ずに良いところまで似通っていた。
今,ビジネスで彼と共同戦線をはり,生活者と企業が共創するマーケティングを普及するため,課題をかかえているお客様と向き合う毎日をすごしている。お互いの得意分野が異なるため,本当に勉強になることが多い。その活動で得た貴重な経験をもとに,日常的に調査している海外ソーシャルウェブ事情を交えながらこのブログをすすめていこうと思う。
すこし話がそれたが,要は笠原氏は僕のマーケティングの先生である。
それともう一人,ほぼ同時に,これまた26年ぶりぐらいで中学高校の同級生と再会した。
こちらは著作10冊を超え,ネット上でも「さとなお」として有名な,最大手広告代理店のクリエイティブ・ディレクターの佐藤尚之(さとうなおゆき)氏だ。
彼は笠原氏と全くタイプが異なり,大規模広告を主戦場とした制作サイドのスペシャリストである。三崎高校という廃校を舞台とした「スラムダンク一億冊感謝キャンペーン」など,話題性の高い作品を多く手がけている。また,日本最古?の生活者発信型レストラン評価サイト「ジバラン」の主催者でもある。とても真摯で,芸術家肌さえ感じる仕事人だ。笠原氏ほど会う機会は多くないが,書籍を通じていつも勉強させていただいている。彼もやはり僕の広告マーケティングの先生である。
そして忘れてはいけないもう一人。またもや中学高校の同級生で,ずっと親しくしている元広告代理店の天羽(あもう)英悟氏。やり手の営業であり,卓越したアイディアマンだ。前職フレックスファーム時代,日経産業新聞広告賞をいただいた際にも大変にお世話になった。4年前に独立し,南青山に素敵なワインバーをオープンし,そこでマスターをしている,わが道をゆく心優しきナイスガイだ。彼もやはり僕の先生である。
昨年,その天羽氏のワインバーに,笠原氏,佐藤氏と私の3人で飲みに行った。
さながら同窓会だ。
興味深かったのは,全く立場の違う仕事をしていた4人が,広告マーケティングの世界に同じような地殻変動を感じていたことだ。いずれも生活者視点に頑固にこだわる美学は共通しており,明日のマーケティングについて熱く語り合った。下世話な話題もてんこ盛りだったような気がするが。
■ amoh's bar (ワインバー紹介 by さとなお.com)
旧友は,長く会わない時を経ても,瞬間的に仲良くなれるのかも知れない。
携帯もネットもない時代に10代,20代を過ごした我々にとって,古き良き友人と再会する機会は少ない。
携帯やミクシィ,Twitterで,卒業後も常につながっているデジタルネイティブの友人関係とは決定的に違うところだ。
そう。わが商売のSNSは,そのような人と人との大切な縁を結ぶもので,意義深いサービスだと思う。
でも,このような再会があると,逆に機会が少ないほうが希少価値と驚きがあって良いのかも。と少し思ったりもする。