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mixi,モバゲー,GREE,ニコニコ動画。最新の収益状況とビジネスモデルを比較してみた

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昨日は,世界に先駆け,日本のソーシャルメディアが複合型ビジネスモデルを生み出したことを記した。

今日は,代表的な日本のソーシャルメディアである,mixi,モバゲータウン,GREE,ニコニコ動画の4サービスを取り上げ,そのビジネスモデルを比較してみたい。

なお,この情報ソースは各社が投資家向けに公表している最新の営業報告をもとにしているが,基準が同一でなく,一部筆者の推定が含まれている。特にGREEについては,アバター売上と有料会員売上の比率は公開されておらず,あくまで推定値として閲覧いただきたい。(より正確な情報があれば,ぜひコメントやメール等でご指摘いただけると幸いです)

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■ 日本トップのメガSNS 「mixi」
会員数1500万人を超える日本最大のSNSであるmixiは,モバゲーGREEと比べコンテンツが弱い。したがって有料課金のツールが限られるため,米国型で広告収入に依存したビジネスモデルになっている。現在,PC利用が低迷する一方,携帯利用は急成長しており,今後は複合型にシフトすると予想される。ただし現時点では広告収益以外としては,有料会員サービス「mixiプレミアム」の売上のみ,約7%とごくわずかだ。

■ ケータイSNSのパイオリア 「モバゲータウン」
モバゲータウンは,1100万人の会員を持ち,携帯SNSおよび複合型ビジネスモデルのパイオリアだ。(1)ユーザーは,ケータイ無料ゲームというキラーコンテンツに惹かれ集客される (2)ゲームアイテムやアバターで消費マインドを刺激される(これは韓国メガSNS「CyWorld」の手法) (3)欠乏気味の「モバゴールド」を獲得するために,モバゲーを通じてECサイトを訪問する というステップを通じて,広告収入を上回るアバター収入やアフィリエイト収入を得ている。ただし2008年10月に,アバター収入等の低迷により,主催会社のDeNAは初の業績下方修正を発表している。

■ 最も収益性の高い複合型ビジネスモデルを持つ 「GREE」
GREEの特徴はその柔軟な戦略性だ。PCではmixiに圧倒されたため主軸を携帯にシフトし,花丸急成長だったモバゲータウンのコンテンツやビジネスモデルの良いところを忠実に学習し,取り入れていった。モバゲータウンと異なる点は,携帯の「GREEプラス」やPCの「GREEプレミアム」など有料会員からの収入も獲得しているところだ。これによりGREEは最も進んだ複合型ビジネスモデルを実現し,経常利益率57%という圧倒的な収益性を誇るサービスとして進化した。

■ 収益性に課題を抱える 「ニコニコ動画」
日本版YouTubeといえるニコニコ動画は,「ニコニコ動画プレミアム」という有料会員を大きく伸ばしており,収益の約2/3としている。ただし現時点で年約8億円の赤字で,収益上の課題点がある。(1)動画インフラのコスト。録画時間無制限の競合など,競争は激化している (2)著作権問題。収益の1.875%をJASRACに支払う義務がある。ただしCDやPVのアップロードは引き続き認められておらず,追加コスト・リスクもある (3)2chイメージが強く,スポンサーがつきにくい といった点だ。動画にコメントを融合させた貢献は高く,ぜひこの課題をクリアしてほしいと願っている。

さて,上記の図を詳細な表にしたものはこちらである。

Sns_map6

では,明日は,もっとも進んでいるGREEの複合型ビジネスモデルにフォーカスし,その特長を見てみよう。

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