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次世代を目指す米国新通信法で米国は大騒ぎ

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 7月下旬、共和党のジョン・エンサイン(John Ensign)上院議員によって、通信法の改訂案が提出された。同法案の正式な名称はBroadband Investment and Consumer Choice ACT(S1504、BICCA)。米国では、この法案で通信業界や放送業界が大騒ぎになっている。放送と通信の市場融合を目指す内容で、ぼくは高く評価している。

 72ページの法案は、96年改定通信法が時代遅れになった部分を修正する目的だが、通信法の知識がないと、この英語はなかなか難しい。そこで、注目点を簡単に箇条書きにしてみたい。

なお、やさしい解説を希望する方は、こちら

***改訂法案の注目点***

<ビデオ・フランチャイズ免許>

1)ビデオ・フランチャイズ免許を撤廃
2)どのような設備で放送事業を行っても良い
3)ビデオ配信設備の借用も認める
4)フランチャイズ費をやめビデオ・サービス費新設

影響:CATV、IPTV、光CATVあるいは携帯データ放送など、配信方式は問わず、他社の設備を利用して放送事業を行うこともできる。この市場開放案が実現すれば、大手電話会社による放送事業への参入が促進される。

<地上波とCATVの関係調整>
1)CATV事業者のPEGチャンネル配信は最大4CHまで

影響:地方テレビ局はマルチキャストによるチャンネル数の増加を進んでいる。そのためCATV事業者のPEG(公共、教育、政府系)チャンネル配信比率は急速に伸びて、CATV事業の障害になる懸念があった。

2)CATV再配信の品質保証

影響:地上波デジタル番組をCATV事業者のオペレーション・センターでデジアナ変換してアナログ配信した場合、デジタル受信機の普及が進まず、地上波アナログ停波が遅れる。そこでCATVのダウングレードを規制した。CATV事業者は、設備負担が増加。

<ブロードバンド規制>

1)消費者がIPベースのプラットフォームや設備、ネットワーク間を自由に行き来することを妨げるような規制を行ってはならない(シームレス・モビリティー規定)
2)コンテンツやディバイスに対するアクセス保証

影響:ユーザーがサービスやプロバイダー、コンテンツを自由に選べる。ネットワーク事業者は競合サービスを妨げてはならない。

<基本電話関連>

1)連邦・州・地方自治体による電話料金やサービス内容の規制を撤廃する。独占的な電話事業者に対する電話設備の開放義務をなくす。
2)独占的地域電話会社に課せられた基本電話サービスの提供義務は2010年1月1日まで。キャップ制限も同時期から緩和し、平均物価指数を上回らない範囲での料金自由化。
3)VoIP電話など新しいタイプの基本電話サービスについては、FCCがPSTN並の品質・サービスを保証するガイドラインを作成し、各州の公益事業委員会が運用する。

影響:加入者系電話の利用者数は年々減少を続けているため、将来にわたって、現在の料金やサービス内容を維持することは難しい。そこで2010年以降は、大幅な緩和を認める。これは、ユニバーサル・サービスの修正やアナログ電話網の清算へと発展可能性あり。

***上記は法案段階の話。今後修正が加わり内容が変化するので、注意されたい***

<関連情報>
1)日経ネット:放送と通信の融合を先取りする――通信法の改訂に乗り出した米国連邦議会

2)映像新聞:8月22日号
3)法案の原文入手先

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