オルタナティブ・ブログ > Randomwalk >

予測できないITの行く先を、あちこち歩きながら考えてみます

Podcastの現場はこんな風になっている

»

いま、Podcastの2つの番組を掛け持ちしています。編集者というのは文章を書いて、読者に読んでもらうのが仕事のはずですが、いつのまにか自分で書いた原稿を自分で読んで人に聞いてもらうことも、仕事としてするようになってしまいました。

Podcastその1は、「ITmedia×@IT Podcast」コーナーの番組「@ITナナメ読みウィークリー」。今年の2月から始めて、気が付けばもう半年以上も続いています。@ITの人気記事を毎週紹介する番組。

Podcastその2は、NECが運営しているExpressStationというコーナーの番組「ちょいモテ システム管理者への道」。これはラジオドラマなのですが、僕は本人役での出演です。これも毎週出演しています。

Podcastなんて会議室ででも録音して、適当なMP3編集ソフトでやればいいじゃん、と思っていた(いる)のですが、実際にはどちらの番組も、ちゃんとミキサー卓のあるスタジオで、録音ブースに入って、ラジオのDJみたいなマイクに向かってしゃべってます。しかも話相手はちゃんとしたプロの声優やナレータの人です。制作費、かかってます。

僕が録音現場に入って驚いたのは、録音の現場はすっかりデジタルなんですね。オープンリールが回って……なんてことはないようです。Podcastその1の番組収録で毎週通っている目黒のスタジオでは、オペレータの方はMacを操作してます。録音ソフトは市販の数万円のやつだそうです。下記はその目黒のスタジオ。写真に写っていませんが、この左側に録音ブースがあります。写真の中央右にある画面がMacの画面です。

Studio

で、僕が台本のセリフをカンだり、読み間違えたりしても、最新のデジタル技術がその場で修正してくれるのです。例えば、「この新製品の開発には、かなりのコストがかかかかったそうです」なんてカンだとしても、収録直後に十数秒で途中の「かか」を抜いて、本当によく聞いても分からないほどきれいに直してくれます。毎回、ナナメ読みウィークリーでは2~3個所くらいかんだり言い直したりしたところを編集してもらっていますが、たぶんそれをあとから見つけるのは無理でしょう。

録音技術の部分を別にすれば、よい番組をつくるコツは、やっぱりよい台本を書くこと。どちらの番組も自分でしゃべる台本をほとんど自分で書くのですが、読んでもらうための文章としゃべるための文章はあきらかに違いますし、見直ししたはずなのに、スタジオに入って読んでる途中で「うまく書けてないなあ」と気が付くところもあります。

それに、会話形式の台本は、台本上は「いいだろう」と思っていても、相手とその台本で実際に会話してみると、「ちょっと長くしゃべりすぎ」のような不自然さが気になることもあります。難しいものです。

しゃべりの技量も、プロとアマでは全然違いますね。声の張りも、聞きやすさも。この違いは、僕の話に、プロの人が演技でからんでくれている「ちょいモテ システム管理者への道」を聞くとよく分かるのではないかと思います。分かったからどうだ、というものではないですが。

それに、しゃべりには自分では気が付きにくいクセがあるのです。これ、ほかの人の番組を聞いてても、あるなあと思います。日常会話ではあまり気が付かないのに、録音したものを聞くととたんに目立つんですよね。僕の場合はだんだん早口になってきて、そうするとかんだり言い間違いが増えることと、しゃべりの頭に「えー」がよく入ること。

で、これを直そうと意識すると、こんどはそっちに意識がいってうまくしゃべれなかったりで。

とはいえ、Podcast番組を作るのはナレーターやミキサーやディレクターとの共同作業というプロセスを踏むので、一人で黙々と記事を執筆したり編集するのとは違う楽しさがあります。ただ、やはり編集の本業ではないところで仕事をしている意識が抜けないのか、先日読者から「Podcast聞いてますよ」と言われたときに、なんだかとても恥ずかしい気がしました。「記事読んでますよ」なら素直に嬉しいんですけれど。不思議です。

Comment(4)