オルタナティブ・ブログ > 雇わない、雇われない生活。 >

企業に属さないプロワーカー(インディペンデント・コントラクター)の日常をつづっていきます。

インディペンデント・コントラクター、プロワーカーとはなにか。

»

 本blog「雇わない、雇われない生活。」というタイトルのもとになっている私の生き方「プロワーカー」「インディペンデント・コントラクター」とは何か?からこのブログをスタートしたいと思います(※以下の内容は、これまで別サイトで運営していた「雇わない、雇われない生活。」の過去記事を再加筆修正したものです)。

  「インディペンデント・コントラクター」(以下IC)は直訳すると、「独立請負人」となりますが、私も所属している インディペンデントコントラクター協会(以下IC協会)では、「期限付きで専門性の高い仕事を請け負い、雇用契約ではなく業務単位の請負契約を複数の企業と結んで活動する独立・自立した個人」となります(IC協会Webより抜粋)。一方、最近使われるようになった「プロワーカー」という言い方は、リクルート社の独立起業情報誌「アントレ」が、ICをもっと直感的でなじみやすい呼称として定義したものです。このあたりはさすが「フリーター」という言葉を生み出し世の中に定着させたリクルートさん、ネーミングがうまいです。実際、私も含めてICの中では最近、自身のことを「プロワーカー」と称する人が増えています。

    ICの定義において「期限付きのミッション」「専門性」「請負契約」「複数の企業」がキーワードになります。「期限付きのミッション」「請負契約」という言葉が暗に示すことは、一定の成果を出すことがクライアントから期待されており、結果に対するコミット、責任が求められるということです。なので、私の周囲のICの方々は責任感が強く、またプロ意識の高い方が多いです。

   契約面においては、「請負契約」という言葉が示すとおり、成果物に対して報酬を受け取る契約がある一方、業務従事する時間に応じて月額xxx円で毎月一定額をお支払い頂く契約もあります。私は新規事業や新規サービスの企画から実装をお手伝いすることが多いのですが、契約初期は様々なミッションを遂行する必要があり、きっちりと責任範囲を明確しにくい場面があります。そのような場合、契約初期は拘束時間に応じた請求をさせて頂き、ミッションが明確になった段階で成果物ベースの契約に移行する、という方法を取る場合があります。  いずれにせよIC、プロワーカーとして仕事をする以上、ミッションと責任範囲を明確化し、それにもとづく契約書をIC側から積極的に結ぶべきです。

   企業におけるIC活用の真髄は、戦略的にプロを活用し、決められた期限の中で結果を求めたり、企業が持つコンピテンシー以外の領域を補うことにあります。実際、私のメインクライアントは、会社設立前後から積極的にICを活用し、経営者を含め社業に関与するメンバーの半数以上がICだった時期もありました。その結果、新規事業のビジネスモデルを決めてから3ヵ月目にB2Cビジネスを開始、サービスの会員数初月1万人超というロケットスタート、さらに設立後半年でISMS取得という離れ業をやってのけました。現在でも、私も含めて部長レベルでICのまま事業に携わっている方がいらしゃいます。

   一方IC協会の中では、今後ICという立場を会社にとって都合の良いリストラの手段としてネガティブに利用されることを警戒する危機感があります。IC の活用は前出のとおり、専門性が高い要員をテンポラリーで活用し、成果を出すことが目的であり、企業が不要となった人材(=負債)を清算する手段には決してなり得ません。そこには「専門性」というICを語る重要なキーワードが欠落する可能性が高いからです。

   また、企業において社員に脂がのってきてスキルも十分に蓄積される時期というのは、ちょうど年収が高くなり始める時期でもあります。企業としては人件費を抑制したい。社員としては、自分がこれまで培ってきたスキルを他で試してみたい、もっと年収を上げたい、という欲求がコンフリクト(衝突)を起こす場面が出てくるでしょう。この場合、あくまでもお互いが合意し、両者がHappyな形であれば、前向きな意味で社員がICとして独立し、そのまま企業と良好な関係を持続したままビジネスを継続するという理想的な形態も可能です。

   但しこの場合、独立する社員には、今後は全て自己責任で生きていくというリスクテイクへの「腹くくり」、企業側にはICという働き方に対する正しい理解と活用方法が求められます。

   今後はICに限らず、正社員として働くにせよ、企業と個人相互のgive&takeをより一層意識していかなければ生き残れない時代になると思います。そのためには一人一人のビジネスマン(ウーマン)が、自分自身の強み(コンピテンシー)と価値(バリュー)を強く自己認識して、身につける生き方が必要になってくるでしょう。逆にそのような意識が浸透していけば、これまでのような正社員という働き方にこだわらず、私のようなICという新しい生き方を選び、自己実現を図りながら仕事をしていく人は多くなっていくのではないかと思います。

   企業と個人がお互いを尊重し、お互いの必要に応じて付き合う、一見ビジネスライクに見えますが、自立した個人と企業の成熟した「オトナ」の関係が、今後の企業と個人との間の「幸福な関係」のひとつの形ではないでしょうか。

Comment(5)