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語学は不要?海外求人の最前線

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「英語はできます。でも海外生活の経験はありません」という人材を海外赴任の要員として中途採用する"日系企業"が増えている。それどころか、"外資系企業"では「海外経験どころか語学力もありません」という人材でも欲しいと依頼してくることがある。ポテンシャルの高い新卒社員ならともかく、これは中途採用の話。常識的に考えれば、海外経験や高度な語学力が必要なはずだが...?海外勤務の中途採用に何が起こっているのだろうか?
グローバル人材を専門にヘッドハンティングを行う当社グループのエム・アール・アイ・ジャパンに寄せられた海外赴任の案件数の推移では、3年前に比べて、2年前がおおよそ25%増、昨年が50%増と右肩上がりで増加している。その背景として考えられるのは、アジア地域での経済成長が目覚しいことと、飽和状態にある日本市場だのみの戦略から脱却しようとする企業が増えていること。そして、その脱却先もまたアジア地域という企業が多い。外務省の海外在留邦人数調査統計では、民間企業で働く海外赴任者の直近5年間の増減数は、アジアがダントツで多い。
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その中でも増えている求人案件は、アジア地域に進出している各メーカーのものが多い。もともとアジア地域は低コスト運営を目的とした生産拠点の意味合いが強かったが、現地人の購買力が上がって来た今では、立派な販売のマーケットとなっている。その為、現地の販売網を広げたり、生産拠点の増設を行ったりするメーカーが増えているのだ。それに伴う生産管理者や営業責任者の募集が盛んである。また、日本食や麺類を中心とした外食企業やアパレルを中心とした小売りの海外出店攻勢も盛んで、店舗管理者や流通職の募集も多く見られる。急成長したIT系企業が海外現地法人の立上げや買収した現地企業の統括者などを募集しているのも顕著な例だろう。
これらの求人企業、いずれも採用したい"理想の人材"は海外赴任経験者である。赴任国がタイであれば、「タイでの赴任経験者がベストであり、マレーシアやシンガポールなどの近隣国であればベター」というのが企業の要望になる。現地人の商習慣や志向を把握できているかどうかは、実は海外拠点運営の成功を左右する最大の要素であり、赴任国や隣国での在住経験は武器となる。この条件を怠って管理者を派遣すると「工場でストライキが起きて生産ラインが止まりました」とか、「日本から来た営業マネージャーの指示に誰も従わない」などといった事態になって、慌てて"現地に明るい人材"を探す破目になる。そういう意味では、海外赴任の経験があればあるほど、売り手市場になれる状態なのである。ただし、これはあくまで"理想の人材"という話。
では現実は?というと、冒頭のような「英語はできます。でも海外生活の経験ありません」という人材でもOK という企業が出てくることになる。その理由は、求人の総数に対して海外経験者の数が追い付いていないとい現状があるからだ。先ほどと同じく外務省の統計では、2013年の民間企業で働く海外赴任者数は26万3人と、2012年比8%増、2011年比12%増と増えてはいるものの、求人数の伸び率には到底追いつかない水準となっている。結果、海外赴任経験者の獲得競争が激しくなり、海外未経験でもポテンシャルで採用しようという企業が出てくるわけだ。
そういう会社が海外未経験者を採用した場合、まず日本本社の経営企画室や海外事業部に配属させる。この場合の必須条件は英語力だが、実務を通して現地とのやり取りに携わり、頻繁に出張で日本と現地を往復しているうちに"現地化"していくことを狙っている。30歳前後まででやる気のある人材に対しては、このような求人が意外に多い。ちなみにだが、ここで言う英語力は、TOEICに換算すると最低でも800点はないと難しいレベル。
一方、「海外経験どころか語学力もありません」という求人もリーマンショック後は増加した。これは、外資系企業がエンジニアや研究者などのいわゆる技術職を求める場合である。この場合、高度なコミュニケーションスキルよりも専門職へのスキルを問われることが多いので、気の利いた会社では、生活に不自由が無いように専属の通訳担当者をつけてくれたりする。特に経済成長が著しいアジアの新興国では、日本から優秀な技術者を雇い入れて、商品開発力の底上げをしたいという会社が多い為、専門性の高いスキルや経験を持っていれば、時には50~60代でもOKという企業もあり、まさに腕一本で世界を渡り歩けるという状態である。
いかがだろうか?このような背景で昨今は、海外赴任経験や語学力が無い場合でもグローバルに活躍できるチャンスが転がっている時代なのである。もちろん前述したように、求人企業の"理想の人材"は海外赴任経験者である。そのことを考えても、未経験から海外へ行ける機会を掴み、海外赴任を1度経験することで将来の転職市場価値を高められる機会は貴重だと言って良い。
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ただ、転職先が日系企業か外資系企業かの違いは非常に重要なので、転職の際には気を付けてもらいたい。なぜなら、日系企業の場合は、海外赴任が終わればまた日本拠点で働くことができる可能性が高いのに対し、外資系企業での海外赴任は片道切符の場合が多い。その分、日系企業に勤めるより年俸はずば抜けて高かったりするので、将来のキャリアプランやリスクなども勘案して転職に挑んだ方が良いかと思う。( (株)プロフェッショナルバンク 福良 英基)
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