『トリセツ』読まなくても分かる操作しかしない
最近の操作説明書は薄くなり簡素化している傾向にある。
詳しい説明書はWebからダウンロードするようになっているケースが多い。
そう言えばWindows95や98発売の頃ノートパソコンを買うとマニュアルが段ボールケースの半分くらいを占めていた記憶がある。しかも、丁寧にWindowsの機能別な細かい操作説明が何冊も入っているため、購入して持って帰るのが辛いほど重かった。
しかし、最近ノートパソコンを購入すると操作説明書にはハードウェアの注意事項と簡単な操作説明書と非常にシンプルになっている。当然段ボールケースも以前のように重く無い。
それも、BusinessMedia誠「なぜ“トリセツ”の簡素化が進んでいるのか」で説明しているように、本体の簡素化が説明書をも簡素化させているのだろう。
その「なぜ“トリセツ”の簡素化が進んでいるのか」から以下引用。
日本消費者協会が昨年1月に行った「家電製品の取扱説明書についてのアンケート」によると、生活家電に付属の取扱説明書を「読む」(全体をよく読む、全体をざっと読む、必要なところだけ読む)と答えた人は9割以上いた。 一方で、「一度も取扱説明書を読まなかった製品があるか」との問いには、約4割が「ある」と回答。その理由としては、「読まなくても分かる操作しかしない」87.4%▽「説明文を読むのが面倒」46.2%▽「周囲の人に教えてもらえばよい」27.3%――などが挙がった。
一度も取扱説明書を読まなかった人の9割近くが「読まなくても分かる操作しかしない」と答えている。
やはり、今までは機能(スペック)が製品購入の大きな動機であった。それは高度成長時代で技術が急激に成長している段階であり、まだまだ満足する機能が備わった製品が少なかった。
メーカーはその機能充実な路線からなかなか脱皮できなかったが、iPhoneが出始めた頃から機能だけでは売れないことに気づき始めた。
しかし、なかなかAppleのように大胆な製品は作れないでいる。
そこには製品としてのトータルバランスが必要になってくる。
「触っていて気持ちの良い感覚」と「デザイン」そして「わくわくしながらハマる」要素のバランスである。
これらがマッチすると「使ってもらえる」モノになると感じている。
そのためには「センス」「経験」があり「チャレンジ」「工夫」できる人がプロジェクトの中心人物にならなければ成功し難い。そのような人が社内にいない場合は外部の人でも良いと思う。
「読まなくても分かる操作しかしない」
この点ではiPhoneやiPadはずば抜けている。
操作説明書が付いていないのだが、触っていくことによって分かる操作性になっている。
たまに、雑誌や人伝えに聞いて分かった操作もあるが、それはそれで”発見”が楽しいものである。
そう、「読まなくても分かる操作しかしない」人には最高に良い製品であろう。操作説明書を読まなくてもほとんどの機能が使えるのだから。
これは任天堂の「スーパーマリオブラザーズ」に似ている。
(「スーパーマリオブラザーズ」のステージ1ー1は実際にゲームをしながらのゲーム操作の基本が分かるチュートリアルになっていると言われている。そしてゲームが進むにつれて新しい発見もある。)