【書評】『フェイスブックインパクト』:知っていること、分かっていること
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著者:
単行本(ソフトカバー) / 304ページ / 2011-04-15
/ ISBN/EAN: 9784883352432
日本での国内ユーザーが300万人を超えたと言われるFacebook。そのFacebookに関する、戦略的活用の方法と考え方について語った一冊。著書は広告・マーケティング界のトップランナー5人。基本的な概要から、企業活用の際の視点、国内外の活用事例、社会学的な考察まで、実に幅広く扱っている。
◆本書の構成
第1章 フェイスブックが人類の歴史を変える (池田 紀行)第2章 フェイスブックが変える消費行動とマーケティング (池田 紀行)第3章 フェイスブックで実現するマーケティングコミュニケーション (熊村 剛輔)第4章 ”フェイスブック先進国”アメリカ (松本 泰輔)第5章 挑戦する国内企業 (原 裕)第6章 結局フェイスブックが話題になり、注目しておく理由はなんだろう? (高広 伯彦)
Facebook本を読むと、その本に書かれている内容以外にも気づきを得ることが多いのだが、今回もそうであった。本書の著者達は、自分がソーシャルメディア上でフォローしていたり、寄稿記事を目にしたりすることも多い。そういった意味で、本書の内容には既知の内容も多かった。しかし、そのような情報に改めて書籍として触れるということが、いかなるものなのかということである。それは、自分の隙間時間を使いながらソーシャルメディアから取得していた情報が、如何に自分にとって都合良く編集されていたかを知るということでもあった。点として捉えた情報だけでは見えていなかったものが、線として接触することで見えてくるのだ。
そして改めて痛感するのは、”知っている”ということと、”分かっている”ということとの違いである。本書の内容で、スーッと頭に入ってくるところと、頭では理解できるのだが、感覚的にすぐにはフィットしないところがある。それが知っているだけなのか、身体で分かっていることなのかという違いであり、その差は非常に大きい。その試金石になるのが、Facebookでの「話す」「聴く」「見る」という説明だったり、「Owned Media」、「Paid Media」、「Earned Media」、「User-initiative Media」という4つのメディア分類に関する解説だったりする。その理解に身体性を伴った体験があるのかどうかが、最も大切なことなのである。
しかし、Facebookの良いところは、思い立ったらすぐに行動できるということにある。偏りなく、あらゆる領域のことを身体化させたい。そのうえで、また改めて目を通したい一冊である。
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