著者: ラリー・ネルソン 伊藤 守 ディスカヴァー・トゥエンティワン..."> 著者: ラリー・ネルソン 伊藤 守 ディスカヴァー・トゥエンティワン...">
オルタナティブ・ブログ > Social Reading >

ソーシャルメディア×読書など。ソーシャル・リーディングな日常を綴ります。

【書評】『正しいゴルフの習い方』:教える側と習う側の溝

»

ディスカヴァー・トゥエンティワン / 単行本(ソフトカバー) / 216ページ / 2011-03-20
ISBN/EAN: 9784799310007

「ゴルフの調子が悪いんですよ」などとうっかり呟くと、教えてくれる人は巨万といる。それでなくてもゴルフの上達法に関する情報は、周囲に溢れかえっている。しかし、よくよく聞いてみると、いろんな人がいろんなことを言っている。よく分からなくなって自分の思う通りにやってみる。そもそもそれで上手くいってなかったから悩んでいたのだということを思い出す。そんな経験を持つ人、多いのではないだろうか。

本書はそんな教える側と習う側の溝を埋めるために書かれた一冊。著者はプロゴルファーのラリー&ネルソンとコーチングのプロ・伊藤 守氏。つまり、ゴルフのプロと教えるとプロのやり取りで導かれた画期的なゴルフ本である。

◆本書の目次
第一章 理解する
1 自分のスイングを開発する
2 緊張をコントロールする
3 学習の仕方を学習する
4 イメージを作る
5 主体的に習う
6 スイングのメカニズムと筋肉を理解する
7 目標に近づく

第二章 鍛える
1 自分のスイングを開発するための基本
2 筋肉を鍛える
3 コントロールする
ゴルフの考え方にもいくつかの争点があると思うが、その一つにターゲットを重視するのか、自分のスイングを重視するのかという点が挙げられる。本書では、「ターゲットに向かって打とうとしてはいけない。それよりも自分のスイングを開発することだ。」と断言している。再現性を重視しているのである。

また興味深いのは、解説の大半が「いかに手を使わないか」という点に注力していることにある。「手はグリップと身体を連結されている、締め付け金具だからです。どこへ行くかは、腕と肩がコントロールしています。」と書かれている。しかし、多くの人が経験を持つと思われるが、手を使うななどと言われ、力を抜くとボールは本当に飛ばない。その点に関しては、下半身の力の入れ方が詳細に説明されている。本書には、分解写真の類はほとんど掲載されていないが、イメージの湧かせ方がとにかく抜群である。

最も大切なことは、スイングの軸より習い方の軸であるというのが、本書に隠されたメッセージであるだろう。「人は言葉にそのものに反応しているのではなく、言葉に対する自分なりの意味や解釈に反応するのです。」とある。つまり、自分なりの意味や解釈がずれていたら、誰にどう教わっても意味がないのである。まずは学習の仕方を学習することから始めなければならない。そこに着目した点が本書の新しさである。

本書はゴルフの本としてだけでなく、コーチングの本として読んでも面白い。そして、読むだけでとてつもなくゴルフがうまくなった気にもなる。しかし実際ラウンドしてみると、そうは問屋がおろさないのはいつものことだ。まだまだ学習の余地は残されているようだ。だから、ゴルフは面白い!


Comment(0)