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【書評】『新ソーシャルメディア完全読本』:”何を言うか”と”誰が言うか”

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著者: 斉藤徹
アスキー・メディアワークス / 新書 / 224ページ / 2011-01-08
ISBN/EAN: 9784048701600

ソーシャルメディア界における第一人者、斎藤 徹氏による、文字通りの完全読本。ソーシャルメディア全体の”今”が
、ビジネスという側面から余すことなく網羅されている。フェイスブック、ソーシャルグラフ、マーケティング3.0、ソーシャルコマース、フラッシュマーケティング、位置情報まで、ここ半年くらいで話題にあがったようなキーワードについて、全て俯瞰して見ることのできる貴重な一冊。

◆本書に書かれている内容
序章  ソーシャルメディアが変える「明日の商い」
第1章 ユーザー数だけではない フェイスブックの本当の凄さ
第2章 効率的な顧客導線のカギとなる”ソーシャルグラフ”
第3章 企業がコントロール不可能なマーケティング新時代
第4章 生活者を味方につけることができるビジネス活用のカギ
第5章 ”商品開発”は「コラボレーション」がキーワードに
第6章 生活者同士の「共有」が重視される”ソーシャルコマース”
第7章 「同時性」と「先回り」を実現する顧客サポート
第8章 ソーシャルメディア時代の”企業ブランディング”
第9章 グルーポンが火をつけた”フラッシュマーケティング”
第10章 ”位置情報サービス”でリアル店舗に顧客を増やす
終章  ソーシャルメディアが導く未来
著者は、ジャーナリストや評論家ではなく、実際にコンサルタントとして事業を行っている方である。しかし、セミナーなどで活用した企画書を公開したり、主だった動きがあると即座にブログで解説をしてくれたりと、その惜しげもない情報発信のあり方には、個人的にも助けられることが非常に多い。そのため、第三章「企業がコントロール不可能なマーケティング新時代」、第4章「生活者を味方につけることがビジネス活用のカギ」に書かれている”企業のあり方”:「利用者の共感」、「評判が知れ渡る」、「特別な感情を持つ利用者」、「社会に対する貢献姿勢を明確にする」などの主張には、著者自身の情報発信の姿勢もダブって見えた。 著者のブログ:In the looop

ソーシャルメディアにおける”あるべき振る舞い方”というのは、”一般社会において大切なこと”と、ほぼ同じである。それゆえ、本書に書かれていることのコアな部分は、かつて学校の先生に教わったことであるということにも、気付かされた。共感も、評判も、傾聴も、貢献も、信頼も、対話も、みんな小学校で教わったことだ。そんなベーシックで、最も大切であることを、ソーシャルメディアでの情報発信を通して日々実践されている斎藤氏が語っていることに、本書の最大の価値があるのだと思う。

ネット上でも顔の見える時代、”何を言うか”と同じくらい、”誰が言うか”も大切になってきている。そういった意味で、企業ユースだけでなく、個人のあり方としても、大切なことが書かれていると思う。


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