【書評】『読んでいない本について堂々と語る方法』:禁じられた書評<前編>
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著者: ピエール・バイヤール
筑摩書房 / 単行本 / 248ページ / 2008-11-27
ISBN/EAN: 9784480837165
全くもって引き込まれるタイトルである。そして、ここまで堂々と言い切られてしまうと、本書の中身をきっちりと読みたくなってしまうのが、人の性であろう。ただし、この本はマニュアル本の類ではない。読書に関する常識を問い直し、新しい向き合い方を論じた一冊なのである。
◆本書の目次
Ⅰ 未読の諸段階1 ぜんぜん読んだことのない本2 ざっと読んだことがある本3 人から聞いたことがある本4 読んだことはあるが忘れてしまった本
Ⅱ どんな状況でコメントするのか?1 大勢の人の前で2 教師の面前で3 作家を前にして4 愛する人の前で
Ⅲ 心がまえ1 気後れしない2 自分の考え方を押しつける3 本をでっちあげる4 自分自身について語る
著者は、フランスの大学教授であり、パラドックスの名手であるそうだ。そんな著者は、多くの人が読書に関して3つの誤った規範を持っていると主張する。すなわち、「読書は神聖なものと見なしている」、「読書には通読義務がある」、「本を語るには読んでいる必要がある」ということである。しかし著者は冒頭からをこれらの規範を批判し、「むしろ読んでいることが害になる」とすら言う。
読まずに語るとは、すわなち創作をするということに近い。昔、松本人志の『一人ごっつ』という番組に「写真で一言」というコーナーがあった。雑誌や本の切り抜き写真をスライドに写して、一言コメントを加えて笑いに導くものだ。本書における著者の主張は、ほかならぬ「タイトルで一言」をやり知に導け、と言っているにほかならない。これが実に難易度が高い。それを可能とするためには、その領域における”ある程度の既有知識”と”課題設定能力”が必要になるからである。ならば真面目に一から読むか、などと思わせるのも、著者のパラドックスのなせる業なのであろう。しかし、どうもそれが著者の最大の目的ではないようである。
察しの良い方はお気づきかもしれないが、私はまだ本書を読んでいない。序文、結び、目次を見て、書評(?)を書いてみた。やはりハードルが高い。これから本文を読もうと思っているが、書評についてはエントリーを改めたいと思う。
つづきはWebで、なんてね!
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