「良い声を求めると声は逃げていく」 潜在的に眠っている声を呼び覚ますスペシャル法
声を良くするためのノウハウをお伝えしているのにもかかわらず、あえて逆のことを言います。
人は良い声を求めようとすればするほど、良い声とはかけ離れていきます。
人は、声を求めようとすると無意識にポイントが上へ上へ上がってきてしまうからです。
それは「声=喉」という常識から逃れられないからでしょう。
良い声を出そうと思えば、一にも二にも横隔膜。
横隔膜を使えている感覚をどこまで身につけられるかにかかっています。
他の細かいことは、それほどやらなくても良いと言い切れます。
しかし
「横隔膜を使えているかどうか分からない。」
という方、とても多いと思います。
そこで、あえて横隔膜は意識から外してみましょう。
横隔膜がしっかり使える条件として、発声しているとき「へそ下9センチの場所にある『丹田』という場所が張っていること」があげられます。
普通、意識しなければ、発声して息をはいているとき、下腹はへこんでいきます。
そこを、なんとか抵抗して張ったまま発声するのです。
よく「この人は胆力がある」と言われますね。
この丹田が張っているときこそ、胆力は発揮できます。
声も同じです。
丹田が張って、横隔膜が使いやすくなっているときこそ、どんな人でも声は自然に充実してくるものなのです。
横隔膜によって、皆さんの潜在的に眠っている良い声を呼び覚ますことができるのです。
ただ、横隔膜は、発声のポイントを下げたままにしておくことが大切です。
私も何年もボイストレーニングを行っていますが、やはり気を抜いていると、声を求め始め、ポイントが下腹からどんどん喉に向かって上に上がって行ってしまいます。それほど、人にとって「声=喉」という呪縛から逃れにくいものということを念頭においてください。
こういうときに、喉から意識を外し、一発でポイントを下げて、身体から発声できるようになるスペシャルな方法を何通りか持っています。
そのうちの一つをご紹介しましょう。
「犬の呼吸」→「吠える」という方法が大変有効です。
(1)犬の呼吸を行う
【方法】犬が夏舌を出してハアハアしているときの呼吸をする。肋骨下あたりのお腹がぺこぺこ動いているのを確認する。
(2)動いている場所が分かったら、その場所で、大型犬が吠えるように「ワン!」と吠える。
【コツ】腰のあたりから突き上げるように吠えると上手にできる。「ウ〜、ウ〜(唸る)ウワン!」とすると横隔膜に入りやすい。人間であることを忘れるくらい、本物そっくりに吠えることができるようになるまで何回でも練習してください。
何度か吠えてから、また発声や歌に戻ると全然声の充実度が違い驚きます。
「やっぱり喉に行っていた。ポイントが上がりすぎていたな。」
ということがすぐに確認できます。
私の吠え声、「もしかして犬を飼い始めましたか?」と聞かれたくらいですよ。
ぜひお試しください。