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ライフワークとしての学びを考えます。

コドモの組織は一流をはじき出す

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一流の技術を持っている。
自分の世界を持っている。
でも、変わり者で皆との壁を感じる。

そんな人が組織にいたらどうでしょうか。


映画「ショーシャンクの空に」の主人公アンディは、銀行員として成功していましたが、妻とその愛人を射殺した罪に問われ終身刑の判決を受け投獄されてしまいます。
最初、刑務所の中で、エリートだったアンディは浮いていました。しかし、元銀行員のスキルを生かし、刑務所内の環境改善をすすめ、少しずつ仲間からの信頼を得ていくのです。

印象的なシーンがあります。

刑務所の屋根修繕の仕事を与えられ、修繕チームに入ったアンディは、機転をきかせて鬼の主任刑務官に恩を売り、交換条件としてチームの皆にビールをご馳走するのです。
歯向かえば、拷問のような暴力行為を行い、囚人を殺してしまうことも何とも思わないような主任刑務官に対するアンディの勇気と知恵に、今までアンディを冷めた目でみていたチームが仲間になった瞬間でした。そして、この出来事は刑務所の環境改善の第一歩となったのです。
アンディは、主任刑務官の用意したビールを飲まず、仲間の楽しんでいる姿を笑顔で見守ります。このとき、映画のアンディと仲間たちは癒され、そして見ている私も癒されました。

囚人たちは、ともすると、エリートのアンディに対して、コンプレックスを抱いていたのではないでしょうか。しかし、一流のプロがいることで組織が良くなり成長することがあるのです。
そして、アンディも、元の銀行員のまま「私は皆さんとは違うのです」という態度であれば、そのままであったでしょう。しかし、無実の罪を問われ、刑務所に入ったことで人生の意味について深く考えたアンディも成長していました。勇気を持って自分を出し、仲間のために働いたのです。

私は、様々な人がいる組織が成長するのだと思います。
しかし、それは、お互いが成長していかないとならない。

「コドモの組織」であれば、アンディのような人は弾き出されます。
しかし、大人の組織は、アンディのような人も受け入れ、本人も成長し、組織の中で仲間となり自分の力を発揮します。


ある会社で、「合唱チームビルディング研修」をしたときです。

一人のメンバーがたまたま知り合いだったことから、事前に少しお話していたのですが仕事で悩まれているようでした。そんな中、社会人大学院に行って勉強しスキルを磨かれていました。しかし、その方は、研修で部下が一緒に頑張っているのに、断りもなく勝手に中座して帰ってこなかったのです。私は業務があるので仕方がないとも思いました。
しかし、もしかしたら、普段からそのようなことが続いているのであれば、せっかく大学院で一流のスキルを身につけようとしてたとしてもどうでしょうか?部下は上司の態度を見てどう思うでしょうか?考えさせられました。

「ショーシャンクの空に」は、人生の重み、深みを感じさせる本当に素晴らしい作品です。
その中でも、組織とはどうあるべきか?自分で考えるとはどういうことか?という問いも投げかけています。
刑務所という究極の環境で描かれた組織の姿は見ている者を圧倒します。

作品途中で流れたモーツァルトの「フィガロの結婚」第3幕「手紙の二重唱」は本当に美しかったと思いました。これもまた、人間が究極の状況に立たされたときの、深い癒しの世界を見せてもらいました。

見た後も深く考えさせられる、おすすめの映画です。

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