「つらい決断」 小澤征爾さん 1年間休養
3月7日、指揮者の小澤征爾さんが来年2月末まで指揮を予定していた国内外の公演を全て降板するという発表がありました。
小澤さんは、2010年に食道がんの治療をして、その後も腰痛や肺炎などで体調不良が続いていたそうです。
体力回復のために、1年間の休養をとることを決定したのです。
小澤さんは、
「大変つらい決断だった」
「しかしまた皆さまの前で指揮をさせていただくために、この1年間は医師のアドバイスのもとリハビリと食事療法に励みたい」
とおっしゃっています。
一度、指揮台に復帰なさっただけに、とても残念です。
本来、小澤さんの指揮は、踊るような情熱的で激しい動きが特徴でしたが、病気をなさった後の指揮は、あまり動かずに音楽の核だけをひたすら見つめ続ける姿が印象的でした。
ピアノの巨匠、ウラディミール・ホロヴィッツ(1903~1989)もまた1953年にアメリカでビュー25周年リサイタル後、突然すべてのリサイタルをキャンセルし、1965年まで12年間も、音楽活動をすべて中止していたことがあります。
12年ぶりのリサイタルは「ヒストリック・リターン」と言われ、健在ぶりを世に知らしめたことは有名です。
その後たくさんの録音も行い、素晴らしい名盤を私たちに残してくれました。
小澤さんとは理由は違いますが、休養をとることが必ずしも悪いことではなく、かえって音楽を深めてくれるということもあります。
若い頃から、日本のクラシック音楽界のパイオニア的存在として走り続けてこられた小澤さん。
ゆっくり休まれて、さらにお元気にな姿を見せていただきたいですね。
今年の「サイトウ・キネン・フェスティバル松本」は、指揮はなさいませんが、総監督として参加なさるそうです。
こちらはファンにとっては楽しみですね。