男同士または女同士で？　それとも男女で？

合唱には男女で歌う混声合唱と、男声合唱、女声合唱、少年合唱があります。

社会人合唱団を選ぼうと思ったら混声合唱か、男声合唱または女声合唱か、で迷うところです。

・男声合唱は三声以上のアカペラが多く、イギリスで発祥したグリークラブから、通称「グリー」と呼ばれています。

歌舞伎を思わせる玄人好みの世界で、一度はまるとさらに深く追求したくなります。
決して派手ではないが、人間味あふれる温かく懐かしい響きがします。

通は、男声合唱曲の代表的作曲家、多田武彦を「タダタケ」、男声合唱の古典的作品『月光とピエロ』は「月ピ」などという言い方をします。

・女声合唱は、通常三部合唱で、主にピアノ伴奏、またはアカペラの演奏になります。

透明で純粋な女声合唱は、良い意味で人間臭さが抜けた、器楽的で芸術性の高い音楽に到達します。

素晴らしい女声合唱団は、徹底的に訓練した浄化された声を武器に、器楽を超えた無限の表現力で、人間の情念さえもを濾過し昇華して聴かせてくれます。

・混声合唱は、女声のソプラノとアルト、男声のテノールとバスが合唱するものです。
通常ピアノ伴奏ですが、アカペラも歌います

男性と女性という感性や価値観の違うもの同士が合わせるところに時間がかかりますが、お互いの個性が生きている演奏は聴いていても楽しい。
高い音から低い音まで揃うので、ハーモニーが安定します。

混声の良い演奏では、同性の合唱には無いダイナミックでより豊かな響きを聴くことが出来ます。

それぞれの楽しさや難しさがありますが、合唱の基本はハーモニーです。
たくさんの人と合わせてハーモニーする声というのは、いくらソロで上手に歌えても味わえない響きです。
良い合唱は一人一人が超一流でなくとも、聴衆が満足し感動するような素晴らしい演奏が可能なのです。
お互いが、聴きあい、自己を少しずつ調整し、工夫し、助け合っていくことで豊かなハーモニーを作っていくことが、合唱の素晴らしさであり、醍醐味だと思います。