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まぎらわしいユーザインタフェースをダークパターンとして分類した研究

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アプリケーションソフトウェアの画面遷移条件や構成要素の配置によって、ユーザが不利益を被るかもしれないことを調査し、定義した研究です。


Gunawan, J., Pradeep, A., Choffnes, D., Hartzog, W., & Wilson, C. (2021). A comparative study of dark patterns across web and mobile modalities. Proceedings of the ACM on human-computer interaction, 5(CSCW2), 1-29.

論文は学会のサイト https://dl.acm.org/doi/pdf/10.1145/3479521 にあります。

この論文では、ダークパターンは、ユーザーの意図や最善の利益に反して、個人の行動に影響を与える可能性のあるユーザインタフェースの要素と定義されています。

ダークパターンは先行研究を参考にする形で、50種類が定義されています。すべての定義は原文を確認していただきたいのですが、50種類は以下の9つの大分類に分類されています。

  1. 初期利用時の要求(Initial usage): サービスの利用開始にあたってアカウント作成を強制したり、クッキーの同意通知で「同意」または「閉じる」しか選ばせないなど。

  2. アカウント登録時の要求(Account Registration): 登録時に利用規約やプライバシーポリシーの同意チェックボックスを設けない、メール購読がデフォルトでオン(事前選択)になっているなど。

  3. 収益化(Monetization): 無料コンテンツと有料コンテンツを視覚的に区別できなくする、広告を閉じるボタンを非常に小さくする、広告を避けるために課金を要求するなど。

  4. 不必要な通知や連絡先情報の要求(Engagement): バッジによる不必要な通知、リワードのための連絡先インポートの要求など。

  5. ショッピング(Shopping): ゲスト購入ができずアカウント登録が必須、選んでいない商品がカートに忍び込む(Sneak into Basket)、決済時まで税金や手数料が表示されないなど。

  6. 位置情報(Location): アプリの利用に位置情報へのアクセス許可が必須であるように見せかける、IPアドレスなどを通じて同意なしに位置情報を取得するなど。

  7. 設定(Settings): プライバシーや通知の設定項目が存在しない、設定変更を一括で行うオプションがない、変更内容が正しく保存されないなど。

  8. 離脱・退会時(Leaving): ログアウトやアカウント削除のオプションがない、削除手順が不明確、アカウント削除に意図的な遅延(待機期間)を設けるなど。

  9. 一般的な利用時(General usage): しつこいポップアップ、ユーザーに罪悪感を抱かせて特定の行動をとらせるようなテキスト、二重否定などの紛らわしい表現、より大きいボタンのような特定の選択肢を視覚的に優位にする(False Hierarchy)など

対象アプリは論文のTable 1にある105件です。2021年発行の論文なので、結果は古いものになっています。ここからダークパターンが増えていたり減っていたりするものもありますので、2020年くらいの調査結果であることを念頭においていただいて、次を読み進めてください。

これらのうちダークパターンが多く含まれていた上位10件がTable 3にあり、最大19件で、同位(タイ)8位でDuolingo, Facebookも入っています。ダークパターン下位10件もTable 4に掲載されており、最小1件で、Google translateが4件、Amazonのアプリが5件と報告されています。

さらにTable 5では、PCのデスクトップアプリ、モバイルアプリ、ブラウザから使うWebアプリでダークパターンの落差が大きいもの上位がまとめられています。

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