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計測できそうでできない多くのこと。エンピリカル(実証的)アプローチで。

バグレポートとレビュー指摘を使った振り返り

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開発完了後、リリース後に振り返りや反省会を実施していることは多いと思います。仕様が変わった、要求の漏れがあった、伝達が不十分なところがあった、性能が出なかった等の困ったことを挙げ、次の開発で防ぐための方策を考えます。また、うまくいっている部分については継続できるような仕組みを考えます。開発を時系列で振り返ることができる計画文書や報告書を参考資料として使うことが多いと思います。

振り返りや反省会の参考資料に開発の最中に記録されたバグ報告やレビュー指摘を使うこともできます。バグ報告やレビュー指摘を眺めてバグや欠陥の傾向を分析し、類似のバグ、欠陥の再発防止、レビューの内容やテスト項目の洗練、素早い修正といった改善につなげます。

9年前のMining Software Repositorisという国際会議での論文発表をきっかけに、ここ7~8年で研究テーマとして取り組んでいます。それ以降、以下の論文として学生や共同研究に携わった方々と共著で発表しました。

  • K. Kasubuchi, S. Morisaki, A. Yoshida and C. Ogawa, An Empirical Evaluation of the Effectiveness of Inspection Scenarios Developed from a Defect Repository, In Proc. of International Conference on Software Maintenance and Evolution 2015, pp. 430-448(2015)
  • 森崎 修司, 久保 匡, 荻野 利彦, 阪本 太志, 山田 淳,過去の不具合の修正工数を考慮したソフトウェアレビュー手法,電子情報通信学会論文誌 D Vol.J95-D No.8 pp.1623-1632 (2012)
  • N. Agata, S. Morisaki, An Empirical Investigation on Defect Detection in Early Stages of Development Phases, In Proc. of 21st International Workshop on Software Measurement, pp.29-31 (2011)
  • C. Ogawa, S. Morisaki, An Approach for Selecting Focused Defect Types in Software Inspection, In Proc. of 21st International Workshop on Software Measurement, pp.38-40(2011)
  • 松村 知子, 森崎 修司, 勝又 敏次, 玉田 春昭, 吉田 則裕, 楠本 真二, 松本 健一, 問題の早期発見・改善を支援するインプロセスプロジェクト管理手法の実プロジェクトへの適用,電子情報通信学会論文誌D, Vol.J92-D, No.11, pp.1974-1986(2009)
  • S. Morisaki, A. Monden, T. Matsumura, H. Tamada and K. Matsumoto, Defect Data Analysis Based on Extended Association Rule Mining, In Proc. of International Workshop on Mining Software Repository, pp. 17-24 (2007)

共同研究を進める企業とご一緒して、これらの振り返りを何度かしてきましたが、比較的手軽に実施できるものをエンジニア向けに紹介する機会をいただきました。バグレポートの件数が多くなると、なかなか目を通す気にならなくなるのですが、そうした抵抗を減らせる方法を紹介していきます。たとえば、どういう目的でみればよいか、どこをみればよいか、手早く終わらせるために気をつけることは何かといった点です。

日経SYSTEMSの2016年5月号から6回の連載「レビュー指摘やバグ報告を振り返ってプロジェクト環境の質を高めよう」で紹介していきます。お手元にあればご覧ください。5月号は118ページからです。日経SYSTEMS 5月号の目次は http://ec.nikkeibp.co.jp/item/backno/OS0277.html にあります。"今まで通り"が危ないプロジェクト多発 ポスト「モダンPM」特集をはじめ、他の記事も興味深い内容になっています。

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