この40年間で、消費者の価値観が大きく変わりつつあることを示すデータ
私は講演の冒頭で、参加されている皆様に、「最近、どうしても欲しいと思って買ったモノと、買った決め手を教えて下さい」とお聴きするようにしています。
とても興味深いのは、「機能が豊富だから」と答える人と、「安かったから」と答える人が、ほとんどいないこと。
多くの人は「どうしても欲しい」と思ってモノを買う場合は、「価値観」「利便性」「お気に入り」といったことが理由になっています。この3つの理由は「個人の嗜好」です。
「どうしても欲しいと思って買うモノは、個人が好きなモノ」という、言われてみれば当たり前の結果ですが、昔はちょっと違っていたのではないかと思って色々と調べてみたら、これを裏付けるデータがありました。
内閣府「国民生活に関する世論調査」(リンク先はこの調査を引用している環境白書)によると、「今後の生活で重視するのは?」に対する答えは、この40年間でこのように変わってきています。
1972年 2012年
心の豊かさ 37.3% 64.0%
物の豊かさ 40.0% 30.1%
心の豊かさ:物質的にある程度豊かになったので、これからは心の豊かさやゆとりのある生活をすることに重きをおきたい
物の豊かさ:まだまだ物質的な面で生活を豊かにすることに重きをおきたい
「個人の嗜好」=「心の豊かさ」と考えると、この40年間で時代が大きく変わったことがよくわかります。
40年前の「物の豊かさ」が大切だった時代は、大量生産・大量販売で、多機能で廉価な商品が受けていました。
しかし現代の「心の豊かさ」が大切な時代は、全体の5%の顧客ニーズに絞って「少々高くても、是非欲しい」という商品を提供することが必要です。
当ブログでも何回か書いている「ニーズの断捨離」の大切さは、こんなデータからも読み取ることができます。