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鶏肉問題が発生した2014年8月期、ケンタッキーフライドチキンの売上対前年比は、なぜ+0.8%だったのか?

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今年7月下旬、中国の食品工場で使用期限切れ鶏肉の問題が発生しました。

昨日(9月9日)発表された日本マクドナルドの2014年8月期の全店売上は、対前年比-25.7%と大幅な落ち込みになりました。(ソース:日本マクドナルド月次セールスレポート)

9月10日の日本経済新聞記事「マクドナルド25%減収」によると、「鶏肉問題の発覚による顧客離れで、売上高が15~20%落ち込む影響があったと同社はみている」としています。調達先が問題を起こした影響は極めて大きかったのですね。

 

一方で同じ鶏肉を扱う日本KFCの2014年8月期の全店店舗当り平均売上高はむしろ対前年比+0.8%と成長しています。(ソース:日本KFCホールディングス 2014年度月次情報)

 

実は日本KFCは、米本社からコストが安い海外鶏肉を使うように繰り返し圧力をかけられていました。

しかし1970年の日本KFC設立メンバーで、四半世紀もの間代表権を持っていた大河原毅氏は、品質保持のために日本産の鶏肉を使い続けるべく、本社と戦い続けました。

2014年9月8日の日本経済新聞記事「品質守った日本KFCの戦い 創業来の信念、災い防ぐ」で、その様子が紹介されています。

---(以下、引用)---

 大河原氏らは鶏肉は品質の劣化が速く、冷凍の輸入品では味が落ちると抵抗した。...コスト面で約4割も差があった。....危機感を抱いた大河原氏が決意したのは米国留学だ。

 副社長時代の80年代前半にハーバード大学で経営学修士(MBA)を取得。....

 当時、米KFCの経営陣では新しい親会社からやってきたMBA取得者が幅を利かせていたが、大河原氏のMBA取得は保身が目的ではない。徹底抗戦へ向けて交渉術を身につけ「同じ土俵で勝負する」ためだった。大河原氏はマーケティング費用をあえて抑え、調達費を賄うことを主張。味が落ちる調理方法の変更に対しても日本人の味覚の繊細さを丁寧に説明した。

....感情論に走ることなく理詰めで鎖国路線を勝ち取った。「四半期決算なら米側の主張が勝つが、本当の競争には勝てない」。以後、米本社からの横やりは減った。

---(以上、引用)---

「交渉相手に勝つためには、ロジックに強いこと」

言われてみれば当たり前のことです。

しかし、このグローバル時代のビジネスリーダーに求められる資質を実際に身につけるために、具体的に行動することが大きな差を生み出します。

 

---(以下、引用)---

日本KFCは国内の養鶏業者のためにサンダース氏が理想としたハーブ飼料をメーカーと共同開発。健康な鶏肉の生産を支援した。「これがなかったら日本の養鶏業はなくなっていた」(日清丸紅飼料)。いつしか大味が持ち味のライバルは撤退。大手は日本KFCのみになった。

...同社は今期、4期ぶりの客数増が見込まれる。大河原氏は2002年に経営から身を引いたが、生前のサンダース氏にこう言葉を掛けられたのを思い出す。「日本だけが私の味を守ってくれている」

---(以上、引用)---

素晴らしいですね。

ただ一方で、世の中ではグローバル調達が賛美されていた時期もあったことも事実。そんな中で、コストがかかる国内調達にこだわっていることは必ずしも高く評価されていなかったかもしれません。

 

自分たちらしさとは何か?何にこだわり続けるのか?

それを守り続けるために、次々と出てくる課題をどのように具体的に解決していくのか?

必要なことは、この繰り返しなのではないかと思います。

 

もう一つ私が感嘆したのは、消費者がすべての鶏肉を敬遠することなく、国内調達している日本KFCには来店している点。それが2014年8月期の売上に数字で表れています。

現代の消費者は、実に賢明です。

 

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