なぜライフネット生命は、シェアで圧倒する大手生保を相手に、半額を実現できたのか?
本日2013/7/12の日本経済新聞の記事「金融ニッポン 第7部 変革の波3 日生に挑んだ男」で、ライフネット生命の挑戦が紹介されています。
「低価格をいかに実現するか」を考える上で大変参考になりました。記事の内容を解説しながらご紹介します。
ライフネット生命は、大手生保と比べて保険料を半額にして、創業5年で契約件数は18万件を超え、海外の保険会社からも問合せが増えています。
一般に「価格勝負は避けるべきだ」と言われています。シェアが一番大きい企業だと固定費を下げることができ、業界で一番安く提供できるからです。
ではなぜ新興企業のライフネット生命は、大手生保の半額で保険を提供できるのでしょうか?
その理由は、大手生保と比べて、はるかに低いコスト構造を実現できているからです。
保険料は純保険料(保険給付金の原資)と、保険会社の手数料(人件費、店舗費、光熱費、他)から構成されています。
ライフネット生命は、この構成の内訳を業界で初めて公開しました。
例えば30歳の男性が期間10年で3000万円の死亡保険に入ると、保険料は毎月3484円。うち純保険料は2669円。手数料は815円。
これが大手だと2倍の7000円前後になります。純保険料はどこも同じ。ですから大手は手数料が4000円を超えているのです。
その理由は大手生保のGNPと言われている販売方法です。「義理・人情・プレゼント」ですね。手間がかかる保険の販売方法は、純保険料を上回る手数料を必要とし、高い価格になってしまいます。
ライフネット生命はネット販売に特化して、この部分をなくしました。だから手数料が安いのですね。
では大手生保も一気にスリム化できるか、というと、現在のしっかりと確立した販売チャネルは簡単には変えられません。
大手生保は、「100円のコーラを1000円で売る方法3」でもご紹介した、「イノベーションのジレンマ」に陥っているのです。
規制に守られた高い参入障壁が、大手生保が長年GNPと言われる販売方法を継続できた理由です。しかしライフネット生命はそこを直球勝負で突破して、風穴を空けました。
本記事の最後はこのように締め括っています。
---(以下、引用)---
価格競争の行き過ぎは保険経営の安定性を損なうが、価格の透明さが顧客本位の販売につながる。
---(以上、引用)---
正直に
わかりやすく、
安くて、便利に。
と書かれています。
ライフネット生命は、あくまで顧客本位で考えることを原点に、強いパッションと実行力で様々な壁を突破できたからこそ、半額のサービスを実現できたのですね。